第3位 レクサスUX
サルーン、クーぺ、クロカン、スポーツでそれぞれにフラッグシップを構えるレクサスだけど、ボトムモデルにはモデル末期のCTと小型SUVのUXがある。本来は2ndカー需要、あるいは女性ユーザー、高齢者ユーザー、若年層ユーザー向けではあるのだろうけど、それだけではもったいない良さがある。レクサスの多くのモデルで使われているFRシャシーやKプラットフォームは、北米向けのV6前提の重厚な仕様なので、日本向けはトヨタグループ得意のハイブリッドとのマッチングは良好だと思う。
UX(他にCTとNX)に使われるMCプラットフォームは、アメリカ向けの小型車と日本向けの中核を担う汎用シャシーだけども、車重を抑えて軽快でスポーティなクルマを作るのに向いている。これにRAV4やハリアー(ともにKプラットフォーム)に使われるダイナミックフォース2L自然吸気が合わさったモデルは、今の所はこのレクサスUXと台数限定で発売されたカローラツーリングだけだ。限定のカローラツーリングが即時完売御礼したことからもわかるように、ドライビングマシンとしてMCシャシーと2Lダイナミックフォースの組み合わせのポテンシャルは高い。
選択肢を持たない輸入ブランドでは、いつの間にかガソリンターボがデフォルトになっているので、自然吸気・・・はやや時代遅れ!?いやいやここにはトヨタの意志が働いている。ターボエンジンあるいはハイブリッドの普及によって、クルマの価格は上がるのに対して運転する楽しみは上がっていない。むしろ大きく損なわれている。自然吸気時代のホンダの生き残りはアメリカの中古車市場でバブルを生み出しているし、ポルシェ、BMW、アルファロメオも自然吸気の時代のものが人気だ。「スーパースポーツか? 吹けないカスエンジンか?」の二極化を招いた結果・・・そりゃBMWが全く売れないのは当たり前だ。
レクサスは直4、V6、V8の3段階で自然吸気エンジンを残している。おそらく自然吸気で味わえる「グランドツーリングカー」的なドライビング・エクスペリエンスをより多くの階層のユーザーに体験して欲しいという想いが込められているのだろう。マツダやポルシェは自然吸気のドライビングフィールを高く評価したクルマ作りを続けているが、レクサスもその2大ブランドに追従する「姿勢」をこのUXで示している。