第2位 レクサスES
レーガン大統領の頃だったと思うが、GMのCEOを務めた人物は「アコードがやってきたときクルマ作りのルール全てが変わったと悟った」と回顧している。日本の四輪メーカーとしては最後発のホンダは、CVCCエンジンなど驚異的な技術革新を武器に1983年に北米現地生産の先陣を切った。以来ずっと北米最強サルーンとして君臨するホンダ・アコードのライバルと成り得た唯一のモデルがトヨタ・カムリだった。トヨタの意地とプライド、そして冷静な分析力によって荒ぶる進化のアコードに対して迫り続けた。
そのレクサス版が「ES」で、トヨタとホンダの過当競争の果てに育成された日本式FFミドルサルーンの実力を余すところなく受け継いでいる。おそらくトヨタ/レクサスの開発陣にとっても相当の自信作だと思う。日本向け仕様はフラッグシップのLSに比べて材質の質感が劣る部分こそあるものの、FFの優位さを生かして後席の膝前スペースもより広く確保されキャビン全体もLSより前後に長く、さらに静粛性にも優れている。LSよりお手軽な価格で「洗練された移動空間」が手に入る。北米向けの自然吸気が欲しいという声もあるようだけど、より幅広い階層のユーザーに快適なプライベートサルーンライフを楽しんでもらいたい・・・というのがこのクルマの日本導入の理由だと思われる。