欧州市場の過酷なヒエラルキー
メルセデスに限らず、BMWの3シリーズなども、欧州では直4を廃止している市場も多く、400万円くらいの直3ターボと800万円くらいの直6ターボでグレード分けが行われている。いうまでもないだろうけど、直3の1.5LターボではEVの加速勝てないが、直6の3Lターボなら実用的な価格のEVには加速で負けることはない。これはBMWの商売に問題があるのではなく、欧州の「罰金ルール」に対応するために苦肉の策としてこのようなグレード設定が行われているだけだ。大多数を占める直3モデル価格のユーザーは、抑え込まれた加速感に不満を募らせるだろうし、そんなタイミングで手頃な価格になってきたEVへとユーザーが流れるのは自然なことだ。
EV待望市場
他の欧州メーカーも内燃機関モデルに関してはダウンサイジング戦略が一巡し、加速性能に関しては著しく満足度が低いモデルが増えた。年々モーター出力を上げているトヨタのHVの方が加速が優れているくらいで、カムリ、RAV4、カローラ、ヤリスなどの基幹車種でことごとくHVモデルが売れている。欧州メーカーのダウンサイジングターボでは加速は期待できない。これまではディーゼル主流であったので内燃機関への不満はある程度は抑えられてきた。しかしご存知だとは思うが、某ドイツメーカーの不祥事でディーゼルへのイメージが失墜し、販売に急ブレーキがかかる。ディーゼルがなんとか満たしていた「加速」需要の受け皿となったことで、EVは急速に普及し始めたとも考えられる。