N-BOXから学んだヤリスクロス
「世帯所有」のクルマは売り込みやすいので、どのメーカーも真剣に開発している。2馬力の「世帯」の収入なので車両価格を高くできるのも都合がいい。その一方で「個人所有」を想定した趣味性の高いクルマは、200万円以下に収めていかないとなかなかユーザーが増える展開にはならない。ホンダN-BOXの驚異的なヒットの要因は、「世帯所有」と「個人所有」を見事にどちらも取り込んだところにあるのだろう。あまりピンとこないかもしれないが、N-BOXのソツないデザインと機能性は「単身世帯」の人も選びたくなる雰囲気がある。しかしホンダが「掘り当てた」市場を、むざむざとあのメーカーが放置するわけはなく、179万8千円という狙い澄ました価格でヤリスクロスが投入された。これまた見事なほどに「世帯所有」にも「個人所有」にも相当に高いレベルで対応している。
CX-30とMAZDA6
MAZDAのCX-30(240万円〜)も惜しいパッケージではある。ベースモデルでも200万円をかなり上回っていて「世帯所有」には良いけど、ちょっと・・・いや、かなり「個人所有」への訴求は弱い。逆にMAZDA3は強く「個人所有」(お父さんの趣味のクルマ)を意識したデザインであるが、1.5Lガソリンモデルでも221万円なので価格設定はかなり強気だと言える。もちろん「個人所有」のユーザーが主体なのだけど、購入のハードルが微妙に高い。そしてその頂点に位置するスカイアクティブX搭載モデルの価格は326万円〜となっていて、これでは日本のお父さんを「動かす」のはかなり難しいだろう。熱烈なMAZDAファンにとってはそれほど気にならない金額なのだけど、世界基準の衝突安全性など考えないような一般的なユーザーにはなかなか理解し難いものがありそうだ。