スズキの魅力
お父さん専用車、つまり「個人所有」で買わせるビジネスがやたらと上手いのはスズキで、スイフトスポーツ、アルトワークス、ジムニーを本体価格200万円以下で揃えている。ホンダS660やダイハツ・コペンも当初より「200万円」という具体的な数字を意識して開発が行われたのだろう。この価格帯以下で楽しいクルマが作れれば、もうそれだけで素晴らしいことだと思う。86、BRZ、ロードスターの次期モデルは300万円以下に抑えるのがやっとだろうから、日本での販売が大きく拡大する可能性は低い。いずれにせよ「個人所有」だけをターゲットにしたクルマの話だ(スポーツカーが減るのは仕方ないようだ)。そもそもゴリゴリのスポーツカーじゃないと興味がないという人はそれほど多くはないはず。1.5Lダイナミックフォースエンジンのように上までよく回るユニットに軽量ボデーを組み合わせて200万円程度に設定すれば、それで十分に趣味性は確保できる。
歴史的モデルの誕生
つくづくトヨタのビジネスは素晴らしいと思う。1.5Lダイナミックフォースを6MTで操れる「個人所有」と、CVTで誰でも気軽に運転ができ後席もしっかり使える「世帯所有」のどちらのグレードも200万円を下回る本体価格で1つのモデルとして用意してきた。日本市場でたくさんの小型車があるけども、この領域にあるモデルは「ヤリスクロス」と「ライズ」だけだ。言うまでもないけど2020年にこの2モデルが売れまくったのは当然だ。他のモデルより「ターゲット」のユーザーが圧倒的に多いわけだから・・・。N-BOX、ヤリスクロス、ライズ、この3台のヒットにより新しい日本市場の定番スタイルが生まれそうだ。「パンドラの箱」が開いた瞬間かもしれない。
残念なMAZDA・・・
ちょっとMAZDA目線で恐縮だけど、1996年に発売した初代デミオや、あの藤原さんが主査を務めた2代目デミオが採用していたボデータイプが2021年になってみると「正解」だったようだ。5代目となるMAZDA2が新プラットフォームで今年発売されるという噂があるが、果たしてこの市場の変化は盛り込まれているのだろうか!?余裕のあるボデーでスカイX3気筒を搭載し200万円以下に収めればこの流れに乗ることができそうだが・・・。今更にロングノーズのブランド共通のデザインのスタイルを変えることは難しそうだ。