議論は不要
宮崎駿の「アニメ」というフォーマットは、伝統的な映画作りから考えれば特異な存在だ。スピルバーグ作品の優劣を測る尺度で、宮崎作品を寸尺するには、ある種の「変換」を交えた解釈が必要であり、それを多くの人に評論として理解してもらうのはさらにハードルが高い。つまりBMWやMAZDAをメルセデスの尺度で測るのはそこまで難儀ではないけど、大ヒットのトヨタ・アルファードを評価するのは難しい。カーメディアのライターも素人ブロガーもそんな面倒なレビュー記事を書こうとは思わない。
トヨタの悩み
最初はほとんど儲からなかったアニメ映画を、衰退する映画産業の希望の星へと成長させた。今では毎年のようにアニメ映画が大ヒットし、世界でも成功を納めるようになった。スピルバーグを好む映画ファンからは、そのフォーマットゆえに相手にされないかもしれないが、宮崎作品には何十年経っても色褪せない「叙事詩」的な真理が宿っているという意味でスピルバーグ作品と近い位置にある。トヨタが力強く牽引した中大型のピープルムーバーは今後も多くの市場で支持されて行くだろう。ただしトヨタの動きを見ていると、HVやEVに転換するには課題が多そうだ。