スポーティな理由
SUVのイメージとはちょっと違うスポーティな面がいくつか見られる。緩い下り坂のコーナーで、セオリー通りにブレーキングからの旋回動作をすれば、これが普通の乗用車とはまるで違うレベルのフロント荷重がかかる。普通の乗用車ならちょっとアンダー気味にラインを外す局面だけど、これがSUVだと思いのほかに内側にささる(オーバー気味になる)。
ミニバンがだらしなくセンターラインを跨いでくるような隘路でも、大柄なSUVは意外なほどオンザレールで抜けていける。「BMWのような車幅感覚」という表現がSUVの走りに使えるとは思わなかった。BMWがどこよりも率先してSUVの普及に取り組んだことは、SUVのフロント荷重が使える走りとは無縁ではなさそうだ。
メカ制御の欠点
緩い下りでのブレーキングは、トラクションがしっかり稼げて、コーナー通過の限界値がスポーツカーのように高まる感覚がする。フロントの接地感がしっかりあれば、どんなクルマでもまず怖いと感じることはない。しかしSUVは200〜300kg程度は重い車重ゆえに、タイトなブレーキング操作には向かない。物理がわかってない人がSUVで無茶なことをすると、おそらく後悔することになりそう。
緩い下りとの相性は良いけど、緩い登りになると様々な問題が噴出する。傾斜が途中できつくなりスピードが下がりそうになると誰もが反射的にアクセルを踏み増す。しかしその瞬間にリアへ大きな荷重がかかり、AWDモデルだとリアにトルクを一気に流すので、変速ショックのような挙動が出る。同乗者がいるとちょっと気まずい。