苦難の日々
日本市場において長らく「構造的不況」で地味な存在に追いやられている三菱自動車。一方でグローバルでは非常に高い評価を得ていて、日本での様子からは想像できないほどの健全経営が続いている。惜しまれつつ日本から姿を消したランエボやパジェロは本来ならば、入手困難と報じられているGRカローラやランクルのような特別な存在だった。世界をリードするハイクオリティなクルマ&技術を競う日本メーカーの中でもホンダ、日産、MAZDA、スバルのさらに先を行くメーカーでもある。
現在の日本市場で「新車」を買うとしたら、ユーザーの特性にもよるが、「メルセデスかレクサス」「ポルシェかBMWかアルファロメオ」「VWかプジョーかシトロエン」「トヨタか日産」「ホンダかスバルかMAZDA」といった互換性ある2〜3のブランド内での選択になることが多いだろう。特にクルマ好きが選ぶ「ロードカー」「SUV」「ピュアスポーツ」は、このわずかな選択肢に潜り込めるかどうかで販売数が大きく変わる。
どう売るか!?
より生活に密着した「コンパクトカー」「ピープルムーバー」であれば、懇意あるいは近所のディーラーで買い続けるユーザーが支えてくれる。昭和から続く属人的な販売はこれからも続くのかもしれないが、ここにきて自動車価格の上昇が顕著になっており、これまでの地縁の「絆」も破綻してしまうケースもあるようだ。MAZDAディーラーもOEMの軽自動車で顧客を繋ぎ止める例が増えたとか。
日本メーカーのジレンマなのだろうけど、高性能なハイエンドモデルを400万円前後で売りつつも、同じディーラーで200万円くらいのコンパクトカーやコンパクトピープルムーバーを販売して顧客を維持する必要がある。クルマは道具だと思う人が大多数の日本では、なかなか思うように客単価が上がっていかない。最大手のトヨタも、販売の主力は200万円前後の「コンパクトカー」(ヤリス)、あるいは「コンパクトピープルムーバー」(ルーミー)、「コンパクトSUV」(ヤリスクロス、ライズ)である。