アメリカンデザインの時代
ちょっと余計なことを書いてみたが、クロストレックを買いたくなる人の心情をあれこれ想像すると、様々な意味で自動車産業の悲惨な現状への「アンチテーゼ」になりうるというという意味でこのクルマには非常に価値があると思う。バブル期には馬鹿にしていたアメリカの工業製品だけど、「失われた30年」と重なるITバブル期を通じて、今度は逆にアメリカ製品の合理主義に心酔する人が増えている。
ミレニアル世代(Z世代)には日本メーカーのITガジェットなど、もはや何一つイメージされないかもしれない。それよりずっと上の世代にとっても富士通、NEC、京セラが現在ではどんな家電製品を作っているのかほぼほぼ不明だ。アップルがITガジェットを定義し、今度はテスラがBEVのみならず自動車業界全体に影響を与えつつある。
アメ車だからテスラに従う!?
クロストレックから始まった訳ではないが、スバル車のやたら存在感があるセンターディスプレイは、テスラとトヨタが協業をしていたころに原型が出来上がったのだろう。テスラのパクリと書くと反論されるだろうから、センターコンソールにディスプレイを置く設計は初代プリウスからだとハッキリ書いておく。その後にトヨタの米国本社がカリフォルニアにあった時代に、このデザインは普及した。スカイラインもコクピットの包まれ感がある。
テスラの快進撃により、上級モデルをアメリカでの販売に頼っているメルセデスもセンターに大型ディスプレイを配置するインテリアを踏襲した。スバルもBRZを除く2つのフラッグシップ(レヴォーグとWRX・S4)でこれに追従した。フォレスターやインプレッサは控えめなディプレイなのに対して、クロストレックはフラッグシップと同じものが採用されている。