アジア資本の充実を感じる!?
社会における成功者たちは、近しい仲間が多く住む地域に集まる。オーダーメイドの高級住宅を建てられ、その品格に相応しいクルマが選ばれる。先進国ではMAZDAやスバルがシェアを伸ばしているが、新興国の高所得なクルマ保有層にウケているのは、やはりメルセデス、BMW、アウディ、レクサスで、それぞれのブランド内シェアを見れば一目瞭然だが、いずれも「非G7諸国のためのブランド」に変容しつつある。
差別化のために日本生産のクオリティにこだわるMAZDAやスバルは、メイド・イン・ジャパンの時代からクルマに慣れ親しむG7諸国で根強い人気がある。もちろんレクサスやメルセデスも売れてはいるがやや減少傾向で、販売拡大は圧倒的に新興国市場で起きている。横置きのメルセデスや、アルファードのレクサス版など新興国向けプレミアムモデルが日本にどんどんやってくる。
ボルボは全てを捨て去った!?
ボルボは、MAZDAやスバルに近い存在だと勘違いしていたが、吉利汽車グループの主力のプレミアムブランドとして、メルセデスやレクサスの新興国重視のビジネスモデルを意識している。ちょっと垢抜けない感じがボルボの魅力だった部分もあるけど、C40はこれまでのブランドイメージを打ち破り、とにかく「キラキラ」している。イケイケの中国資本の力を使って世界中の優秀なデザイナーを掻き集めて徹底的に内外装を磨き抜いている。日本メーカー車はちょっと太刀打ちできないくらいオシャレだ。
動画レビューでの絶賛コメントも、決して「案件ステマ」によるものとは言い切れない。C40の完成度の高さを素直に評価している部分もかなりあると思う。それでもEVシフト議論が紛糾してきた中で、BEVの運用が難しい日本市場では立ち位置が難しいクルマになりそうだ。「EV推進派」と「EV懐疑派」はクルマの完成度はどうあれ、まあ一義的に議論を繰り出す。どちらもあまりに思慮がなさ過ぎて、ボルボがC40に込めた「価値」や「本質」の議論が欠けている印象すらある。