「トヨタだからダメ」ではない・・・
MIRAIも、ジャガー、メルセデス、マセラティといった伝統のサルーン・ブランドの上位グレードモデルを意識した造形ができている。これには徹底した欧州志向デザインに心酔するMAZDAファンも、もはや「トヨタ車は論外」と安易に切り捨てることができなくなった。トヨタの「日本専用」や「米中&第三世界向け」は全く意味がわからないけど、MIRAIとプリウスは認めざるを得ない。
期待していたMAZDAのロードカーラインナップの乏しさだったり、上級モデルを担いつつも2012年から10年以上もFMCがないMAZDA6にはガッカリさせられる。FRにしてスカイアクティブXの6気筒を搭載して、動力性能と経済性を併せ持つフラッグシップサルーンを予定していたとは思うが、欧州でのセダン需要を支えるカンパニーカー制度が、市場より先にBEV化の影響を受けることは想像できる。
欧州侵略
MAZDAの英国部門ではMAZDA3セダンを、カンパニーカーとして積極的に売り込んでいる。スカイX搭載モデルには、ゴルフGTI並みの運動性能と、1.5Lクラスのコンパクトカーに匹敵するモード燃費が両立し、そこにMAZDA自慢のハイエンドな安全性能とドライバビリティ、そして欧州でも高く評価されるエクステリアデザインが備わる。
日本ではMIRAIやプリウスと、MAZDA車は真逆の存在のように語られることが多いけども、この2台の次世代戦略車は、MAZDA3に備わっているMAZDAが欧州市場を目指して長年培ってきた美点をなぞっている。日本企業がオイルショック後から推し進めてきた省エネ技術などの効率重視の工業製品を代表するトヨタTHSと、MAZDAが欧州に食い込むために磨いてきた技術がタッグを組むことで、逆に日本のクルマ好きがカタルシスを感じてしまう。