輸入車の適正価格
給料が安くて増税&物価高が続く日本だとされているけども、人手不足が続く中で可処分所得はそれ相応にある。高校生でも最新のアイフォンを所有するのは難しくないのだから、300〜500万円くらいのクルマも十分に利便性が伝わればいくらだって売れるはず。プジョーやシトロエンはエクステリア&インテリアに前衛的なデザインでアピール度は高い。ステランティス傘下となったオペルにもやはり独自の世界観があって、没個性あるいはデザイナーのセンスを疑ってしまうような日本メーカー車が多い現状を考えれば、いくらでも勝算はありそうだ。
デザインの優位性があっても、強気に価格を上げ過ぎてしまっては、お金持ち老人の趣味のクルマにしかならない。人によって価格が高い安いの感覚は違うので、1.2Lガソリンターボ(130ps)&8ATが組み合わされた新型プジョー408の標準グレードGTで499万円+13万円(サーチャージ)をお手頃だと思う人もいるかもしれない。まあ確かにBMW318iがほぼ同じサイズ&スペック(156ps)で568万円だから輸入ブランド縛りで選ぶなら・・・。
値上げが止まらない
メーカーなりにブランドの「格」を考えた上で価格設定をしているのだから、素人があーだこーだ言うべきではない。2010年代の前半はVW、ボルボ、メルセデス、MINIが円高を背景にお手頃価格なモデルを設定して日本市場でちょっとした輸入車ブームを作っていた。この成功を後追いしてプジョーとシトロエンが価格上昇気味の日本メーカー車よりも手頃な価格で買えるモデルを充実させ、輸入車らしい個性が十分に備わっていたこともあって販売台数を伸ばした。
どのビジネスでもダンピングによるシェア拡大は常套手段ではある。日本での生き残りをかけて輸入ブランドはそれぞれに時期を設けて価格を調整している。アベノミクス末期の円安基調となると、一転してVW、ボルボ、メルセデス、MINI、プジョー、シトロエンが次々と価格上昇のタームに突入した。ルノー、アルファロメオ、BMWも段階的に価格が上がっている。輸入ブランドが買いづらくなる背景もあって「MAZDA一択」の傾向は強くなっている。