福野さんの感情的にさせるMAZDA
福野さんは、決して輸入車至上主義の平凡なライターなどではない。ここ数年の某ドイツブランドへの批判は舌鋒鋭いものがあるし、MAZDAの価値も存分に認めてくれている。「北米の日産、欧州の三菱」という日本車の王道に配慮したレビューが目立つのも事実だ。その結果として北米で支持されるホンダや、欧州におけるMAZDAの活躍は「小粒」に表現される。こればっかりは主義主張に基づく意見なので、あれこれ異論を申し立てるわけでもない。
ユーザーが「プレミアム」な価値を感じるような手の込んだクルマを新設計すれば、福野礼一郎さんも含めた多くの「長年クルマに乗ってきた人々」にとっては、愛憎半々の複雑な感情が湧き出してしまうらしい。メルセデスやBMWを真似しただけと書きたいだけ。AJAJレビューにもヤフコメにもステレオタイプな文言が永遠に並んでいて、読む側はうんざりでしかなかった。
CX-60の破壊力
MAZDAの開発者や役員のインタビューでは、FRシャシーを採用することの合理的な理由が存分に説明されている。大きなエンジンを使うならばFRの方がコスト面で有利であるし、北米にはFRシャシーの廉価モデルがシボレーにもダッジにもある。実際に6気筒のディーゼルを搭載してこれまでに例がないような存分な実用燃費を発揮している。省エネ技術を大事にする日本メーカーらしくてとても微笑ましいのだけど。
6気筒ディーゼルで19km/Lオーバーのモード燃費を誇るCX-60が500万円ほどで買える。そりゃブレークスルーは起きる。絶望的な日本の高級車市場に見事に風穴が開いた。昨年の日本COTYでは全く評価されなかったけど、審査員の資質の問題でしかないと世間は思っているし、誰も結果なんて気にしていない。新型クラウンが新たな日本の高級車としてラインナップを増やし大量投入される中で堂々とCX-60を投入し、見事に結果を出したことが素晴らしい。トヨタも目の色が変わっている。