IIHSを参考にすると
10年以上前からコンスタントに良好なスコアを出し続けてきたグローバルメーカーは非常に少ない。ちょっと過激な意見かもしれないけど、高速道路で安心して使えるメーカーは、ボルボ、マツダ、ホンダ(北米モデルのみ)の3社くらいしかない。日産、スバル、BMW、ベンツ、VW、アウディも悪くはないけど、トップの3社と比べれば2ランクくらい下だ。アルファロメオは現行のジュリア、ステルビオが良好なスコアを出しているけど、10年前は目立ったものはなかった。
トヨタ、レクサス、MINI、ジープはさらに格付けが下がる。そして最低レベルなのがフィアット。小さいクルマ、重心が高いクルマ、そしてトヨタのクルマはIIHSでは露骨にスコアが低い。日本のカーメディアはこのことを触れない。今回のダイハツの件もおそらくダンマリだろう。軽自動車規格は海外の主要市場では安全上の問題で売ることができないけど、国土交通省はずっと黙認してきた。親会社も管轄の省庁も「安全」に関しては偉そうなことを言う資格もない。
中国市場撤退の意味
中国でC-NCAPが施行されるようになり、ダイハツもスズキも相次いで中国市場から撤退している。残念ながらこれが真実を物語っている。スズキは欧州に工場を持ち、ユーロNCAPに対応した欧州向けボデーを作っているし、10年ほど前にはスズキ・キザシが北米で初めて行われたオフセット衝突で世界トップのスコアを出した。メルセデスやアウディが惨敗したテストだっただけに大きく報道された。スズキには確かな技術力があることは証明されている。
ダイハツの会見に出てきた社長やトヨタの副社長も、軽自動車規格のクルマで衝突安全アセスメントのアリバイをまともに作るのは無理があると感じていることだろう。厳しい質問を投げかけた若い記者たちも、そろそろ軽自動車では安全が担保できないことを認めるべきだと思っているようだ。ニュースにゲスト出演しているAJAJライター(国沢さん、桃田さん)も、そんなことは百も承知だろうが、ひたすらに押し隠してトヨタに忖度したコメントをしている。
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