十分過ぎるサイズ感
ハリアー、エクストレイル、ZR-Vに乗っているユーザーは、もうこれ以上は広くなくてもいいと考える人がほとんどだろう。無理のない価格帯で、どんな場所に乗って行くにも、そこそこ見栄えがしてとりあえず貧乏人とは思われない貫禄がある。さらに大きなサイズのSUVは存在するけども、ランドクルーザー、メルセデスGクラス、BMW・X5は、もはや「日常使いの高級車」ではなく、周囲にラグジュアリーなライフスタイルを発信するアイテムだ。
会社勤めで電車通勤なのに、オーデマ・ピゲ・ロイヤルオークや、ランゲ&ゾーネ・サクソニサのような雲上ブランドのラグスポな時計をする人は、ちょっとTPOがイカれている。ロレックス・デイトナやブライトリング・ナビタイマーやウブロ・ビッグバンといったメカニカル・クロノグラフを好んで使う人も、同じことが言えるかもしれない。その仰々しく重い機械式時計はオフィス向けスーツには合わないし、仕事ができる人にも見えない。
機械の価値
腕時計の中古市場で価格が高騰しているのは、雲上ブランドのラグスポか、メカニカル・クロノグラフくらいだ。資本家か大富豪で、ボデーガードや運転手が付くような生活をしている人向けの「階級」時計として使われる。バルブから平成へと続いた価値観では「男の価値を端的に示すもの」として無理してでも手に入れる人がいたらしい。ランクル、Gクラス、レンジローバースポーツ、ディフェンダーなどのSUVのリセールが高いのも、これらの腕時計の高騰と構造が似ている。
価格が高騰する腕時計やクルマをうまく取引して、美味しい思いをすることもあるだろうし、好きで選んでいる人の趣味をとやかく言うつもりはない。しかし2000万円のクルマや400万円の腕時計は、盗難・事故・故障などのリスクも一気に高まる。セキュリティのない賃貸マンションや青空駐車場では管理できない。400万円のクルマと20万円の腕時計ならば余計な心配は不要だし、「実用性」という意味では十分過ぎる満足感も得られる。