トヨタ1強か?
この10年ほどは、トヨタのアルファードやレクサスの各モデルが、高級車として圧倒的な人気を得るようになって、対抗メーカーのホンダや日産はもはや日本市場を諦めているような雰囲気すらあった。ZR-Vと現行エクストレイルが、メーカーのフラッグシップSUVとして投入された。ベースモデルでも400万円に達する乗り出し価格では、さすがに簡単には台数は出ないと思っていたが、2024年3月の販売実績では、どちらもミドルSUV市場でしっかりと存在感を発揮している。
2014年頃には、ミドルSUVが200万円台で選び放題であり、業界全体をひっくり返す勢いだったSUVブームだけれども、10年経って2倍近く価格が上昇してもまだまだ香ばしく燻り続けている。さまざまなメーカーからヒット車が出て、紆余曲折はあったものの、目下のところ「トヨタ・ハリアー」と「ホンダ・ヴェゼル」の2車種がSUV市場を牽引する存在になっている。平均乗り出し価格300万円台のヴェゼルが「大衆向けSUV」、同じく400万円台のハリアーが「高級SUV」として売れている。
輸入SUVは不要
ハリアーが「高級車」だったら、クラウンやレクサスNXは「どんなカテゴリーだ?」って声もあるだろうけど、クラウンやレクサスNXも基本設計はハリアーと同じクルマであり「高級車」であることに変わりはない。北米市場でこそロールスロイス、マセラティ、ランボルギーニ、メルセデスから、レクサス、BMW、ボルボまでが幅広く「プレミアムブランド」、トヨタ、ホンダ、スバルが「大衆ブランド」と定義されてはいるけど、日本市場の輸入SUVは、大雑把に言ってしまえば「業界人向け」でしかない。
マセラティやランボルギーニはあくまで「貴族」的なライフスタイルを営む人々のためのクルマであり、家賃がせいぜい40万円くらいの東京の狭苦しいタワマンに住んで「減税しろ!!」などと不満を叫んでいる人々には似合わない。それらの雲上ブランドのモデルを引き合いに出して「ハリアーは高級車ではない」などと主張したがるインターネットの住民は、一昔前よりは目に見えて減ってきたように思う。