フラッグシップの強み
エクストレイルとは違い、新しい車名で登場したZR-Vも販売を伸ばしている。日本向けハイテクSUVとして市場に受け入れられたようで、こちらも販売が好調だ。ZR-Vの主力ユニットであるe:HEVの基本設計はエクストレイルと同じシリーズハイブリッドで、完全電動による発進や加速は、エンジンとモーターの協調によって間延びしたフィールを醸し出す大手メーカーのSUVと比べれば、動的質感の良さは明確だ。
エクストレイルもZR-Vも、律儀にトヨタと乗り比べてもらえれば、圧倒的な商品力の高さで選んでもらえる。日産やホンダにとってはこれがフラッグシップだけども、トヨタにはハリアーの上位にクラウンやレクサスがあるから、ハリアーのインテリアの質感は、かなり意図を持って抑えられている。レクサスNXやクラウンクロスオーバーも、ベースはハリアーであり、インテリアこそ良くなっているものの、エンジンとモーターを混ぜる加速のフィールの悪さは消せていない。
トヨタ包囲網
モーター駆動のエクストレイル、ZR-Vが、混合駆動のハリアー、RAV4の絶対的だったシェアを削っている。営業力があるトヨタだけあってハリアーの販売は、まだ上回っているが、モデル末期なので状況は予断を許さない。そんな中で割を喰っているのは、非電動エンジン駆動のまま継続されているCX-5と、あまり効果的にHEV性能が発揮できていないフォレスターで販売がかなり低迷している。どちらも輸出メーカーなので、歴史的円安局面を考慮して北米優先の販売なのかもしれないが・・・。
トヨタに迎合し、ホンダ、日産を手厳しく批判していたカーメディアやウェブ上のコメント専業者の世論誘導を跳ね返して、エクストレイルやZR-Vが日本市場でも躍進している。ヴェゼルは相変わらずの人気だし、逆輸入車のキックスの販売までも上向きになっている。10年後の日本のSUV市場はどうなっているのか?日産とホンダの提携発表もあって、シリーズハイブリッドとTHSの対立構図は、さらに大きく変わりそうだ。