本物のスカイラインとは?
イニシャルD世代以降だと、80年代、90年代こそが日本車の黄金時代だと信じている。初代スカイラインが1957年に登場し、三代目スカイライン(「箱スカ」)に初めての2000GT-Rが設定されたのが1969年のことで、この世代のスカイラインこそが至高とされる。初代から3世代目までがプリンスの開発部隊によって担当されたから、この3世代だけが理想的なスカイラインだと桜井眞一郎さんが断じているらしい。
三代目「箱スカ」がBMW3シリーズのE46系で、四代目「ケンメリ」がE90系に相当するような関係かもしれない。E46系は欧州市場を中心にジャンルを代表する存在となった名車で、E90系は日本などのアジア市場などで広く拡販に成功してBMW史上最高の販売を記録したけど、欧州市場では不人気でE46より売れなかった。大人気車の後継モデルは難しいというよくある話ではある。
ポルシェを叩き潰す
オイルショック以前のクルマ作りなんてよっぽどのクラシックカー・マニアでないと詳細はわからない。事実として「スカイライン2000GT-R」が3代目・4代目には設定されるものの、70年代中盤には厳しい排ガス規制が実施されたこともあって、5〜7代目にはGT-Rの設定はなくなった。1989年に8代目のR32系でGT-Rが復活する。近年では中古車市場での高騰が著しく、各地で盗難被害も多発しているくらい人気のR32〜R34の3世代に渡って設定された。2002年の排ガス規制強化でスープラやRX-7とともにR34GT-Rの販売が終了した。
後継のV35系で「大団円」が実現して、GT-RはR35として独立したモデルとなった。高級セダンとしてV35から現行のV37まで同じプラットフォームを20年使い倒す一方で、2007年に登場したR35GT-Rは、997ターボを超えるハイエンドスポーツカーとして開発され、当然のように世界的な名声を得た。2020年頃にはGT-Rは入手困難な限定車ビジネスを駆使して車両価格を上昇させ、今ではすっかりアストンマーティンみたいなスーパーGTという位置付けになった。