レクサス流の高級スポーツクーペ
2017年の発売当初から、ポルシェ911、メルセデスAMG・GT、BMW8シリーズと比べて、最高出力で張り合うために専用エンジンを作るでもなく、レクサスLSのV8自然吸気ユニットと高級車向けTHSをそのまま使ったラグジュアリーに徹したクーペとして異彩を放っていた。開発担当者は、現在のトヨタ社長を務める佐藤恒治さんだ。
2010年から限定で販売された伝説のスーパーカー「レクサスLFA」は、4.8LのV10自然吸気で560psを8700rpmで絞り出すヤマハが手がけたエンジンが搭載された。そのイメージを引き継ぐコンセプトカー「LF-LC」が北米市場で非常に好評で、退屈なレクサスの殻を破るには製品化するしかないとして、かなり無理矢理にパッケージングされたそうだ。
強烈なマーケティング
5400万円で売らないと採算が取れない設計のLFAは、イタリアンスーパーカーの価格を考慮した上で4000万円のダンピング価格で販売された。ヤマハが作ったV10自然吸気のレクサスLFAに比べれば、3000万円以下で買えるフェラーリやランボルギーニは、割安な価格設定だと言える。LFAのイメージは残しつつも、エンジンは全くの別物となり、FRの汎用シャシーが使われた結果、レクサスLCは価格を1500万円まで抑えた。
このレクサスLCから「マルチ・ステージ・ハイブリッド」と呼ばれる改良型ミッションを使った新世代のTHSが使われた。主に電気式CVTの加速フィールやブレーキフィールの改善に取り組んでいる。2010年頃までは、燃費さえ良ければユーザーはしっかり確保できるという考えによりTHSは開発されていた。しかし国内の他社にTHSをライセンス提供したところ、あまりのフィールの悪さに先方メーカーによって徹底改良が施されてしまうというトヨタの面子が丸潰れの「事件」が起こった。