突然変異
2012年に新型プラットフォームで登場したレクサスGSがあまりに退屈で酷評され、これがまさかの最終世代になってしまった。北米市場からレクサスのデザインやコンセプトがダサ過ぎると強烈なダメ出しがされた。同じ時期に国内のTHS提供メーカーから「こんなゴミなブレーキフィール&ミッションフィールではMAZDAでは製品化できません!!」と完全に馬鹿にされた。MAZDAによってごくごく短期間で改良版THSが完成し、MAZDAのテストコースで試乗したトヨタ開発陣が青ざめるということがあったようだ。
自動車メーカーとして絶望的な苦境が2011〜2013年頃に立て続けにあったからこそ、それら全ての汚名を濯ぐためにレクサスLCが無事に製品化された。何度も経営的に追い込まれその度に記録的大ヒット車を作り生還してきたMAZDAとは違って、世界トップのトヨタの経営は安定していて、その分だけ面白いクルマが滅多に出てこない印象があった。しかし自動車メーカーとしてのプライドがズタズタにされた時には、80点主義のトヨタの殻を破るクルマが出てくるようだ。
レクサス再生への道
豊田章男会長も、社長に在任していた期間のインタビューにおいて、印象深いトヨタ&レクサスのクルマとして、アルファード(先代)、GR86、GRヤリス、レクサスRC-Fと並びレクサスLCを挙げていた。トヨタの定番となったハイエンドミニバン、誰でも楽しめるGRのスポーツカーと並んで、レクサスのV8搭載の2ドアモデルを挙げているが、最高のドライビングカーをトヨタから届けたいというユーザーへの熱い想いが込められているようだ。
北米で生まれたレクサスは、1989年のブランド創設とともにレクサスLS(トヨタ・セルシオ)がフラッグシップとして君臨していて、最盛期には年間に4万台も売れていた時期があった。しかし2000年代の後半にはレクサスが「退屈過ぎる」と批判されるようになり、2011年頃にはフラッグシップセダンLSの販売は年間1万台まで減少し、現在では2000台程度した売れなくなっているようだ。今ではレクサスは北米においてすっかりSUVブランドになってしまった。