トヨタはいいクルマを本気で作るようだ
「トヨタ車はクルマ好きには人気がない」ことは、トヨタも10年以上前から認識している。GR86やGRスープラは、楽しいクルマを作るノウハウが足りないトヨタが、迅速かつ柔軟な決断をした結果、ノウハウを持つ他社主導で開発された。もちろん経営上の大きな狙いは北米市場の「トヨタ&レクサスは退屈」の残念なイメージを覆すためだ。初代86が生まれて以降、この10年余りでトヨタのラインナップは大きく更新された。特徴的なのは、スポーツカーと低価格モデルのOEM化だ。
開発リソースを付加価値の高いクルマへと振り分けるために、国内向けの低価格モデルにはダイハツのEOMモデルが大々的に取り入れられている。トヨタが直接に開発するヤリスやカローラはボデーの剛性が高まり、VWなど欧州車と比べても遜色ないレベルになっている。しかしトヨタやVWなど巨大資本は、ボデーは良いが仕向地で分かれるパワーユニット&ミッションに無視できない欠陥がある。
ボデーは良くなったが・・・
トヨタのTHSあるいはCVTエンジン車だったり、VWの1.0Lターボ&DCT(ゴルフ、Tクロスなど)は日本の道路でたくさん見ることができるが、失礼ながらこれらに乗る人は、基本的にクルマに興味はない人と思う。場合によってはかなりのカルト路線のクルマ好きの可能性もあるけども、トヨタだったら「経済性」、VWだったら「輸入車=希少性」で選んでいる人がほとんどだ。私のようなマトモなクルマ好きは北米などのNCAPの結果を見るので、トヨタやVWは怖くて選べない・・・。
EVシフト後も高剛性のボデーは必要なので、どのメーカーもしっかり投資をする。今では日本で正規販売されるクルマはボデーが良いのが当たり前になった。「ボデーがゆるゆるの日本車」はかつてのカーメディアの常套句だったけども、2010年代後半からのトヨタのTNGA刷新やホンダの軽自動車本格参入により、一気に「死語」になった感がある。