トヨタ全体がわかるクルマ?
ヤリスには、1.5L自然吸気にMTを組み合わせたグレードもあれば、THSで圧倒的な燃費性能を誇るグレードもある。1.5L直3のダイナミックフォースエンジンは120ps / 6600rpmで、同じタイミングで設計された2L直4、2.5L直4は、北米市場でトヨタが本気で改革したエンジンである。6600rpmの比較的高回転な仕様からもその性能は窺える。
ヤリスのMT車だと990kgのボデーに120psのエンジンが搭載され、クルマ好きが吸い寄せられるようなパワーウエイトレシオだ。その一方でTHSのモデルは、高い環境性能はよくわかるけども、ドライブを楽しむ趣味のクルマとしての魅力がほとんど感じられないので、都会に住んでいる人がわざわざ所有するクルマではない。欧州COTYに選ばれるほど、走りのクルマとして選べる一方で、真逆の面も見ることができる。この1台でトヨタの立ち位置がとてもよくわかる。
THSでは無理だと悟った
ボデー剛性が高くて、乗り心地が良いクルマは、日本市場ではすでにありふれた存在だ。しかし楽しいドライブに必須のスペックを持つクルマと、圧倒的な燃費を誇るクルマはそれほど増えていない。もちろん両立はできないけども、1つの車種でこれほど「究極の二択」を用意できるのは世界でもヤリスくらいだと思う。アルファードやランクルなどトヨタは様々な価値を提供しているが、ヤリスもトヨタの技術力を示す代表的モデルだ。
冒頭にも書いたけども、ヤリスやGRヤリスの人気を受けて、トヨタの中上級モデルにもエンジン主体のTHSではないユニットが開発されたようだ。北米や日本で普及するダイナミックフォースエンジンは、THS化されずに生き残り、いよいよマイルドハイブリッド&ガソリンターボに切り替わりトヨタの上級モデルの花形エンジンになりそうだ。トヨタに歴史的変革をもたらしたのはヤリスとGRヤリスだと断言できる。