デザインに正解はない
MAZDAの「美しいデザインのクルマが街を彩る」というコンセプトは、プロモーション戦略として、ユーザーのマイカーイメージを増強する狙いがあるけども、それは架空の世界の風景であり、現実世界の都市は薄汚れていて寒々しく、心情になんら訴えるものもない殺風景であることがほとんどだ。デザイナーが理想に突っ走るMAZDAデザインは確かに子供っぽいのかもしれない。
MAZDAデザインの賛否はしばしばネットで議論されるけども、アニメやドラマの世界観に滞在する時間が長くなっているライフスタイルの変化を考え、ユーザーへのアプローチを上手くやっているブランドだと言える。それらの視聴時間が長いインドア派ほどMAZDAのデザインに惹かれやすい傾向にある。さらにキャンプ&車中泊をするアウトドア派が満足できるユーティリティが備わるMAZDA車は存在しない。
戦略ミス?
あくまで個人的な推論に過ぎないけども、MAZDAは貨物車ボンゴをベースにした、ユーティリティに優れたアウトドア派向けピープルムーバーを新ラインナップに加えるという発想はなかったようだ。ロードスター、CX-5、MAZDA2派生モデルに加えて、第七世代としてMAZDA3派生モデル、CX-60派生モデルが追加されたラインナップは、経営上の無駄を削ったものではあるけど、残念ながら「このクルマがあるからMAZDAが好き」とは言い難いブランドになった。
ワクワクするカーライフを連想するモデルが見当たらない。社会全体でクルマへの求心力が急速に低下しているので、面白いように集客できるクルマは簡単には作れない。しかしプジョー・リフターの登場は、現在のMAZDAと同じように物足りなさがあったプジョーのラインナップに大きな変化をもたらした。コンパクトカーとSUVが中心になるのはどのブランドも同じで、エコな時代なので走行性能も大きな差はつかない、そんな閉塞感を打ち破る新型車が待ち望まれている。