名門ブランドの風評被害
ポルシェやBMWのような憧れの欧州ブランドは、いつまでも日本市場で順調に顧客を獲得し続ける絶対的な存在だと思われていた。よくよく考えれば、工業製品のブランドに絶対的なものなど存在しないとわかる。ポルシェはSUVやセダンを中心とした「アメリカ式」ポルシェが幅を効かせた結果、ラグジュアリー・ファミリーカーのブランドイメージが強くなってしまった。BMWも横置きエンジンのモデルを大量に導入し、値引き販売で売り込んだ結果、高級ブランドの割には庶民的なドイツブランドのイメージがある。
ポルシェやBMWなど欧州ブランドを選ぶユーザーにはSNSを利用する人も多い。様々なタイプの一般ユーザーが、憧れのブランドを愛車にした興奮をそのままSNSで発信してしまう。確かにSNSはクルマ好きが繋がる有益なツールだけども、ユーチューバーや歌舞伎町のホストが愛車のベントレーをSNSで発信したとして、中学生・高校生ならいざ知らず、社会の仕組みがわかってきた大人が、彼らに憧れてベントレーに乗りたいと思うだろうか。
情報化社会に揺れる
SNSの一般人だけでなく、芸能人やスポーツ選手であっても超高級車を愛車にしていることを公開したところで、そのブランドにとってイメージの低下にしかならないと思う。中古で100万円もしない激安のカイエンや3シリーズに乗る一般人のユーチューブなんてそこら中に溢れている。これらの人々がポルシェやBMWのイメージを徹底的に破壊するだけでなく、他の自動車ユーザー全般までも「勘違いの貧乏人」として嘲笑の対象になってしまう。
いくら安いとはいえ、15年以上前のクルマは、自動ブレーキはもちろん、サイドエアバッグすらまともに付いてないし、排ガス基準は最悪で、COxとNOxを撒き散らしている。80年代の日本車を愛好する人々のオフ会など開かれ、黄色の毒ガスを発射する40年前のクルマが何十台も集まってアイドリングでもしたら、間違いなく健康被害が出るくらいの大気汚染になる。