巨大メーカーの落とし穴
MAZDAよりもさらに規模が小さいアルファロメオだと「不満はMAZDAの倍くらいあるけど、オンリーワンな魅力も2倍」そんな評価になる。コンパクトカーやミニバンならトヨタが圧勝だ。しかし性能が求めらるセダンだと、ハイブリッドで燃費の不満を解消したカムリ、パワーと燃費を良質させたディーゼルで売れたアテンザ(MAZDA6)、510psの超絶エンジンを始め最初から燃費を無視して走りに振ったジュリアの3台の中で、ジュリアが最後まで生き残った。
トヨタのようなメーカーだと、巨大な生産設備を維持するためにも、十分な利益を出せないモデルはすぐに見切れてしまう。巨大メーカーはとにかく絶版車が多い。日本向けカムリにも冷徹にリストラを宣告されたという見方と、クラウンセダンやレクサスESを売るために戦略的に打ち切られたという見方があるけど、いずれにせよ巨大メーカーゆえに成立しなかったと言える。
セダンが売れない理由
MAZDA6の場合は、設計時(2010年頃)に中国市場や北米市場のトレンドを見て、先代までのスポーティサルーンから、大型サルーンへと安易に売上を取りにいったことが裏目に出てしまった。発売直後に全世界的に巻き起こったSUVブームによって、見込んでいたユーザーをそのまま新型車の初代CX-5に奪われてしまった。CX-5が売れるか未知数なので3代目アテンザは保険だったが、CX-5はMAZDA史上ナンバ−1の驚異的なシェア獲得を実現してしまった。
そんなMAZDAとは対照的に、ジュリアとステルヴィオを同時に開発したアルファロメオは、SUVの価格をセダンの1.5倍くらいに設定することで、ユーザーの棲み分けを図った。これはBMWやメルセデスの日本向け価格でも見られる欧州プレミアムブランドの定番戦略となっていて、既存ユーザーが一気にSUVに流れないような施作と言える。