社用車よりプレイベートカーの時代
会社の役員が乗るような社用車こそが高級車という価値観が、10年くらい前までのドイツ車や日本車にはまだ感じられた。この10年でSNSなどが発達し、世界のさまざまなライフスタイルが可視化された。自動車産業にとっては同じクルマが売れ続けることが望ましいのだけども、どこかの地域からSUVの魅力的なカーライフが発信され、日本、北米、欧州、中国で同時多発的にSUVブームが到来し、全ての総合自動車メーカーのラインナップは刷新された。
10年前のインドの国民車「ヒンドゥスタン」は、イギリス、アメリカ、日本、ドイツで1960年代に売られていたようなスタイリングだった。しかしこの10年で状況は大きく変わり、インド資本のタタは、英国の名門ブランド「ジャガー」や「ランドローバー」を所有するようになった。セダン中心のジャガーは、高級車市場の変貌によるセダン離れに抗することができず、セダン生産から撤退し、残るSUVとスポーツカーの生産も終わりBEVブランドとして再出発する。
ランドローバーの変容
ランドローバーの販売は好調で、この10年でスロバキアに新工場まで誕生した。SUVばかり7車種のラインナップを、そのまま北米、中国、日本など主要市場に展開している。レンジローバー、レンジローバー・スポーツ、レンジローバー・ヴェラール、レンジローバー・イヴォークの4車種は、ポルシェやBMWのような舗装路用の高級SUVで、イヴォーク以外は3列シートが配置される。
ディスカバリー、ディスカバリースポーツ、ディフェンダーは、オフロード走行も想定した高級SUVで、ディフェンダーは90、110、130の3つのボデータイプがある。フラッグシップのレンジローバーは、2997mmと3197mmの2種類のホイールベースが用意されている。MAZDAの北米向けCX-90が同じく3119mmなので、ロングホイール版レンジローバー(全長5258mm)とCX-90(全長5112mm)が同じクラスになる。