イヴォークは世界を変えた
レンジローバー・イヴォーク登場の前と後ではあらゆるメーカーのSUVデザインは断絶されたものになっている。日産エクストレイルの初代(2000年)と二代目(2007年)は、三代目(2013年)以降とはまるで別のクルマである。BMW・X3もトヨタ・ハリアーも登場年が2010年を境にデザインは激変した。レンジローバー・イヴォークのデザインテイストは、2013年に登場した4代目レンジローバーで踏襲され、ランドローバーから発売されるモデル全てに行き渡った。
伝統と格式の高級SUVブランド・ランドローバーの現在の繁栄は、全てがレンジローバー・イヴォークから始まった。そしてMAZDAも2012年に発売されたCX-5の予想を超える大ヒットにより、「東洋のジャガー」と呼ばれていたスポーツカーブランドが、いつしか「東洋のランドローバー」に変わってしまった。ランドローバー、MAZDAにジープを加えた「グローバルSUV御三家」は2010年以降のグローバルの高級車マーケットを塗り替えつつある。
背水の陣
2000年頃に巻き起こった世界的な自動車業界再編と、リーマンショックとEVシフトに揺れる中で、巨大グループは比較的に保守的なポジションを取らざるを得なかった。そんな中で2000年頃には存続も危うい状況だったランドローバー、MAZDAは混沌とした世界市場に活路を見出した。弱小メーカーが保守的では何の未来もない。何もしないで死ぬか、やるだけやってみて死ぬかの二択。
2000年以前からシェアと資本を十分に持っていたブランドは、顧客のニーズに応えるためにも高級セダンの開発を続けざるを得ない。レクサスLS、メルセデスSクラス、BMW7シリーズは、今でも高級車の定番モデルとして君臨しているが、街中で見かけるこれらのモデルのユーザーは、頭がツルツルのおじいさんだったりすることがほとんどだ。