クルマ難民はどこへ行く?
東京で走っている日本車が絶対的に少ないわけではない。エスティマや初代アルファードなどかなりの経年のミニバンは多く見かける。日本車の耐久性の高さゆえだろうが、乗り換えの新車価格を用意したいと思えるほどの魅力的な現行モデルが少なくなっていて、「クルマ難民」が増えているのではないかと思う。2世代前のアルファードの新車本体価格は300万円を下回っていたが、20年足らずで価格はおよそ2倍になった点もユーザーを混乱させているだろう。
車両価格を押し上げるための最終兵器が「残価クレジット」だけど、このシステムをユーザーに定着させるために、2010年代からトヨタはアルファードを高値で買い戻し続けたらしい。先代まではカローラと同じシャシーを使うミニバンに過ぎなかったアルファードだけど、そのリセールは企業の価格操縦によって大きく高騰した。残クレもリセール価格操縦もユーザーにもメリットがあることなので、トヨタに乗らない部外者が、その良し悪しを断じるのは門違いである。
なぜ残クレは批判されるのか?
残クレで月額5万円(頭金不要)ほど払って、新車のアルファードを楽しむカーライフを5年契約で続けるのは、カーリースだと考えれば、意外に低リスクだと思う。事故に関しては概ね車両保険でリスクヘッジができる。途中で支払いが面倒になったら、その時点で販売してしまえば、リセールは業界トップクラスに良いので、差額で請求されるのもせいぜい10〜20万円くらいであり、数百万円の頭金でクルマを買うよりもリスクが高いとは思えない。
トヨタが目一杯リセールを引き上げたアルファードの残クレは低リスクだけども、これがスカイライン、アコード、クラウンセダンでは、まともなリセールにならないので、そもそも残クレが上手く機能しない(月額10万円くらいなら可能だが)。マークXやカムリが惜しまれつつも姿を消したのは、トヨタの新しい販売戦略の柱である残クレとKINTO(リース)にマッチしないからだろう。