セダンが売れていた
日本市場向けのフルサイズセダンは、販売低迷を受けてラインナップが激減している。2010年くらいまでは車格に比して割安感もあって人気もあり販売も堅調だった。各ブランドには「ゆとりのDセグサルーン」が用意されていた。日産ティアナ、スバルレガシィなどは、クラウンやフーガほど高価格ではないけども、動力性能や車内のゆとりは十分納得できるもので、今では信じられないが、当時は200万円そこそこの価格設定でかなりお得感があった。
輸入ブランドのDセグサルーンも、VWパサート、シトロエンC5、プジョー508などが数年前まで販売されていた。まだ円高基調だった2010年代は、欧州車の中ではお手軽な価格帯であったため街中で見かける機会は多かった。欧州名門ブランドで全長4.8m級の立派な車体で存在感もあり所有満足度は高いが、ベースグレードならば価格は300万円台前半だったと記憶している。非常にバリューを感じる。
セダン=上級ライフスタイル
メルセデスやBMWのような記号的価値が付いてくる高級セダンは、現在でもよく見かける。デパートやホテルなどを頻繁にプライベートカーで利用するライフスタイルの人々からは絶大な信頼を得ているようで、実際にデパートの100台規模の駐車フロアにあるクルマの大半がメルセデス、アウディ、ポルシェばかりという光景はザラだ。腕時計、バッグ、アパレルと共に、気分よく日常を過ごすには質が伴った「高級品」は必要経費なのだろう。
2010年代には700万円以上だったメルセデスEクラスに対して、その半額の手頃な価格だったカムリ、ティアナ、レガシィは、日本市場から消えていった。これらの日本メーカー車は、ユーザーが求める水準に達していなかった部分があるのだろう。単純に知名度やブランディングで片付けられる話だろうか。CVTで引っ張る安っぽい挙動で、デザインにも特別な配慮がないのでは、比較対象にすらならない。