福野礼一郎さんが最高評価
アウディ車全体に言えることだけども、同クラスの他のドイツ車、日本車に基本スペックで劣っているケースはほとんどない。ワンメイクレース用でもあるアウディA1にだけ1L直3エンジンが使われているが、Q2やA3の日本向けユニットは直4エンジン(高性能のRS3は直5)が採用されている。1.5Lの排気量だとトヨタ、レクサス、日産、BMWでは直3化されているが、VW(アウディ)、ホンダ、MAZDAは静粛性、制振性、レスポンスの良さを重視して直4を維持している。
1.5L直3を採用するグループはいずれもモジュラーエンジンで、2L直4と共通設計にすることでコスト削減というメリットがある(これは素晴らしいことだ)。一方で1.5L直4を採用するグループは、乗り味や走りの良さを妥協しないという姿勢が見える。アウディA3も数年前は1L直3がベースグレードに採用されていた時期があったが、ユーザーからの反発で1.5L直4へ置き換わった。トヨタも更なる良いクルマ作りを目指して、次世代の新型エンジンでは直4に回帰すると発表されている。
同じドイツのプレミアムブランドのBMWやメルセデスだと、横置きエンジンの下位グレードのモデルは、ちょっとバカにされる雰囲気がある。しかしアウディでは下位グレードのクルマも、VWとの価格差を納得させるだけのクオリティで手が入っている上、ベース車の走りの素性が良い。SUVのQ2(473万円〜)やQ3(525万円〜)はやや割高な分、ロードカーのA3(415万円〜)はリーズナブルに感じる。先代モデルは、10年くらい前に福野礼一郎さんがCセグプレミアムを一堂に並べてインプレし、1位に認定された実績を持つ(2位VWゴルフ、3位MAZDAアクセラ)。
Cセグハッチバックなら、欧州2大勢力の「VW(アウディ)かフォード(MAZDA)」から選ぶべきという格言は今も変わらない。ちなみにBセグなら「トヨタかフォード(MAZDA)」、Dセグなら「BMWかアルファロメオ」、Eセグは「メルセデス1強」が、クルマの基本性能を考えた上(欧州市場の選択)での、それぞれの2大勢力だったが、MAZDAのBセグや、アルファロメオのDセグは存続が不透明な状況ではある。VWとアウディにはCセグの「王道」を守り通して欲しいところだ。