アウディの美学
アウディの新型A3がエンジン車で登場する報道とシンクロするように、メルセデスも年内の生産終了をアナウンスしていた現行Aクラスを2028年まで継続して生産することを発表した。すでに新型CLAがBEVとICEの共通プラットフォーム(NMA)で北米で発売されているが、すでに償却が済んでいるであろう三菱からM&Aで接収したプラットフォームから、新規開発の共用プラットフォームに変わることで、車両価格が大きく跳ね上がるようで、現行Aクラスの3年間の延命となったようだ。
北米ではAクラスは販売されていないが、CLAに続いて2026年、2027年でGLA、GLBが「NMA」に置き換わり、2028年のタイミングで北米には投入されないAクラスにも「NMA」による後継モデルが登場するようだ。Bクラスは2025年で生産終了&廃止となる。トランプ関税パニックの前には、北米市場に投入しない小型の低価格モデルは利幅が少ないので積極的に廃止すると意気込むブランドばかりだったが、メルセデス、BMW、スバル、MAZDAなどの輸出メーカーで変節が見られる。
BMWではSUVブームの中で販売が伸ばせなかったX4が生産終了となり、小型で廉価なX2が生き残ることになった。メルセデスでもGLEクーペ、GLCクーペがラインナップ削減の対象となる。SUVブームが続く中である程度のトレンドとして、タイアクリアランスが確保され、居住性・積載性を重視した実用性の高いデザインが選ばれている。X4、GLCクーペ、GLEクーペに加えてルノー・アルカナがSUVクーペのスタイルを模索したが、レクサス、MAZDA、スバル、ジャガー・ランドローバー、アルファロメオの日英伊プレミアムブランドの追従がなかった。
アウディもSUVに関しては、3BOXを意識させるようなクーペスタイルは排除した。アウディのデザイン美学に合わないと判断したのかもしれない。市場の急速な変化に対応するためラインナップの整理・再構成は必要はあるので、前述のようにBセグのA1、Q2は廃止の見込みだが、上位グレードのSUVでモデル廃止は出ていない。BEV(e-tron)に関しても、ロードカーへの導入にはデザイン性を重視していて「e-tron・GT」「A6・e-tron」は、どちらも全く腰高な感じはない。