売るところがない!?
さてドイツ、中国、アメリカの3拠点で製造が始まったID.4だけど、2022年初頭から降って沸いたウクライナ危機によって、欧州全域のエネルギー供給の見通しが危うくなっている。ガソリン価格も電気料金も競うように高騰したが、再生可能エネルギー開発へ、ESG投資ブームで過剰に投資が膨らんでいることもあって、電気料金の方が絶望的に高くなっているらしい。
これによってBEV販売が減少したという客観的なデータは存在しないが、VWなどBEV販売を開始した陣営が想定していたほどは市場は伸びなかったようだ。ウクライナ紛争の長期化によって、ドイツ工場での生産車が余剰気味になるという予測で、慌てて域外への輸出を検討し始めたらしい。しかし世界の平均所得から見ればだいぶ高価なBEVである、まとまった量が販売できる市場はほんのわずかだ。
日本市場に擦り寄る!?
日本、韓国、オーストラリアくらいがめぼしい候補地になるが、国土が広すぎるオーストラリアはBEVは向かない。遅ればせながら日本と韓国への投下が決定したらしい。すでに日本市場はテスラ、ヒョンデが参入し、トヨタ&スバル、日産、MAZDAもSUVタイプのBEVを発売している。2023年1月には中国BYDも販売を開始する。
MAZDAは航続距離が短い、自宅充電&街乗りに特化したBEVなので、その他の4陣営の先行BEVの価格を見極めた上で、日本向けID.4はドイツ工場からの輸送にもかかわらず、かなりお手頃な価格設定となった。日本市場に何も期待しなかったドイツメーカーからの、変わり身は非常に興味深い。ここから関係回復を願うばかりだ。