年末にスズキのスイフトがFMCされて、新たにHVが導入されました。トヨタはアクアに加えてヴィッツにもHVを導入されました。トヨタのWRCでの活躍を受けて、ヴィッツにはさらなるスペシャルモデルが今後用意されるようです。・・・が!?2017年1月のBセグ車の販売状況は、ノートの圧勝!!アクア、フィットにダブルスコアを付けた!! 去年の11月に30年ぶりの日産車がトップに立って、12月はプリウスに抜き返されるも、再び首位に返りざくとは!!これは単純に販売店の試乗車需要というわけではなさそう。そして2月は再びプリウスが奪還。あれ?FMCのスイフトはどーした?1月が前年比177%で3788台。2月は前年比209%で4281台。どーもデザインで転けた感があるのですが・・・。
スイフトよりもデミオが売れている!!これはもはやBセグってちょっと余裕がある人のクルマになっているってことでしょうか。軽自動車で足りるところをわざわざ高い税金払ってBセグに乗る!!だから「ダイハツ・ムーブ」や「ホンダ・Nワン」よりもハッキリといいクルマに仕立ててないと納得しませんよ!!ちゃんと買う理由を盛り込んで商品力を付けてくださいねー!!ってのが昨今のBセグユーザーの行動から見えてくる「消費」のあり方みたいです。
ちょっと前まで30km/L以上のモード燃費を出すHVのBセグで十分に商品力が成り立っていて、アクアが3年くらい市場を圧倒し、フィットもそれに真っ向勝負を仕掛けることで、存在感を確保していましたが、ガソリンもそこまで高くなっていないし、もうHV「だけ」で(Bセグを)買おう!!という気にはならない段階なのかもしれません。もちろん「信号地獄」の都市や郊外に住む人々の生活の足としては、HVという選択は「絶対的」な価値があります。そしてウチのお袋の実家のような地域(町に信号機が3つだけ、近くの量販店まで25km!!)では、ガソリンターボやディーゼルを選ぶのもいいですね。ドイツ車、マツダ、MINIにとってはベストな環境です。
HVよりも「スタイリング」でユーザーを掴んだアクア。それに対してBセグではちょっとばかり珍しい「インテンシティ(激しさ)」を感じさせるユニットをもつフィットHV(ちょっとリコールが多かったのは残念)。この2台の対峙がBセグの新時代を担ってきたんですけど、カーメディアの関心は専ら輸入車、デミオ、スイフトへ・・・。なんだかんだいっても国沢さんが大好き?クルマ好き連中は、デミオ、スイフト、ポロ、MINIがいい!!って洗脳されていきます。けどカーメディアが煽るほどBセグの中で「群を抜いた」出来栄え!!そんなモデルが存在することはまずないですよ。
1L自然吸気の旧型ヴィッツと、2LターボのMINIクーパーSを比べたところでパワーユニットとデザインの違い以外ではそれほど大きな差はないです。BMWが作ろうが、トヨタが作ろうがアンダーを抑える運転テクニックは必要だし、アクセルを雑に踏めばすぐにタイヤは滑るし、おまけにブレーキも思ったより効かない。こいつらほぼほぼ同じクルマじゃね?そもそも「Bセグ」というノーマルなクルマがあって、各メーカーがそれにちょっと味付けして好き勝手なキャッチコピーで売っているだけじゃ? もちろん異論反論があるとは思いますが、もしこの固定概念(偏見?)を覆すだけの「何かすごいもの」をどこぞのメーカーが打ち立ているならば、とっくにトヨタ86くらいのムーブメントは起こしているはずです。スイフト・スポーツの存在を無視するわけではないですが、あのクルマの美点は「シンプルなBセグは楽しい!!」を見事に表現した、あくまでアクアやフィットHVに対する「カウンター」的な存在であることに意味があったと思います。
「クルマ(Bセグ)なんてどれも同じさ・・・」というユーザーの諦念に対して、各メーカーはどこまでダイナミックにクルマを仕上げて見返すことができるか? とは言ってもオイルショックのずっと前から、日本と欧州では小型車の製造が続いていて、その中で何度となくエキセントリックな改良が何度となく行われてきました。某国のメーカーでは4ドアの小型車にロータリーエンジンを搭載したり(その後同じメーカーが今度はディーゼルエンジンを搭載したり)と無茶なことを続けてきました。また某国の別のメーカーでは、車軸式が当たり前だった小型車に4輪独立懸架のサスを与えたり、後輪サスをダブルウィッシュボーン化したりしました・・・。
いずれも1960~70年代の話ですけども、最近のBセグを巡る環境では、この手の「バカ」っぽい発想が欠けているように思います。確かにデミオのディーゼルに乗った時には、アクセルを思いっきり踏み込むのをためらうような「ビースト」感がありましたし、MINIクーパーSがアクセルオンでトルクが溢れて、タイヤが横に流れて(ブレて)しまって、なかなか前に進んでいかないラフさには思わずニヤけてしまいましたね・・・。別にクルマの完成度が高い!!ではなくて、その真逆で低すぎて笑える!!世間で愛されるブランドってのはやっぱり「バカ」なんだなー。
その一方で「バカ」ではなく、真逆のスマートさでユーザーを押し切ってしまったのが、ルノー日産のBセグ勢ですね。徹底的にクレバーさを発揮して日本ではノートが、あっという間にBセグの頂点に立ちました!!(アクアに逆転する力はもう無い!?) そしてフランスで全モデルでナンバー1の売り上げを誇るのがルノー・ルーテシァです。この2台は共通シャシーの兄弟車ですけども、エンジンとミッションの使い分けで、日本向けと欧州向けに非常に真面目に作りわけてます。
e-POWERが登場するまでのノートの看板モデルは、1.2Lスーパーチャージャーのエンジンを載せたモデルでした。しかしその魅力はほとんど伝わらなかったようで人気はイマイチでした・・・。変則ショックが少ないCVTに、日本のような低速セクションでそつなくBセグを走らせるためにターボよりも低回転から効くスーパーチャージャーを「合理的」に仕込んでいます。ちょい乗りばかりだとノッキングを起こしやすいディーゼルをBセグに積む強烈なまでの「おバカ」な2ブランドは人気なのに、どこまでも合理的にクルマを作っているブランドが割を食うなんて・・・。そんな「おバカ」に匹敵する加速のインパクトを見せたe-POWERが売れて良かったですね。
対してルノー・ルーテシアは、高速巡航に優れた1.2Lガソリンターボがメインユニットです。これに自動変速機付MTを仕込むのが欧州小型車の定番なんですけども、ライバル車のミッションがことごとくひどい有様。VWの7DCTは中国政府に「真面目に作れ!!」とガチでキレられ、PSAはあまりの完成度の低さで極度の販売不振に・・・。フィアットはリコールの嵐に見舞われました。マツダ&MINIの「バカ」コンビは上級モデルと同じトルコンATを使っているので、ミッションに関しては「まとも」。そしてルノーは・・・ミッションは大事だからミッション屋に頼めばいい!!とこれまたベストな判断で、ランエボやBMWのMシリーズに採用実績があるゲトラグと契約します。
確かにルノーは、国有企業の歴史があって、やや革新性に乏しいメーカーで、マツダやMINIのような面白さは期待できないですけども、日本に入ってくるDCT装備の小型車ではもっとも信頼性が高い!!しかもルーテシアの価格は、ノートのスーパーチャージャーやe-POWERとほぼ同じ価格帯です。どっちを選んでも220万円くらいの予算でOKです。ノートe-POWERが月に15000台近く売れた!!もし同じ予算でルーテシアが買える!!と分かれば、一体どれだけ流れてくるのかな?