カーメディアもクルマ好きのみなさんも事あるごとに「いいクルマを作ってくれ!!」と他人事のように言い放ちます。「テメーが言ういいクルマって何だよ(いらいら!?)」って話ですよ、80年代車(プレリュード)を出してくるのは勘弁して〜・・・そこで時代が止まっちゃってんのかー!! 「最近のマツダは頑張っているなー」「今のスズキは勢いがあるなー」「もうスバルは自信に溢れているねー」「モリゾー社長になってからのトヨタはやっぱり違う!!」・・・一体ダメなクルマばっかり作ってしまっている冴えないメーカーはどこなんだ!?期待外れは「『バイ』ハツ」と「民族オート」だけじゃね!?
日産はなんだかスバルがアイサイトを掘り当てた時のような盛り上がりを見せてますけど、このメーカーの凄まじいまでの実力を示したのはやはり2013年に発売した「スカイライン350GT」ですね。Dセグセダンですけども、このクラスのクルマは徹底的に「手が入った」ホスピタリティの良さであったり、ライバルと比較して「質感」で優位に立つことが「商品力」にとって非常に大切ですが、まあとにかくよく「詰まって」いるんですよ。発売当初は「米国向け」を揶揄されてましたけど、純粋にアメリカを目指したモデルだったから「いいクルマ」になったと思います。乗った時に感じる空気感やコクピットから見渡せる景色が、ライバルのレクサスISやBMW3erとはちょっと?いや相当に違います。フォードマスタングに似ているかも・・・。
おそらく500万円くらいでここまで質感の高さを実現したクルマは、もう二度と出てこないと思いますよ。このV37スカイラインと同日に試乗したスバルWRX・S4は残念ながらライバルにも成れてないです。乗り出し価格は350GTもS4もほぼ同じでその差は50万円以内ですから、これではS4が売れる余地はほとんどないです。スカイラインはちょっとデカいという事情も場合によってはあるでしょうけども、決定的な差がありましたね。スバルに対してさらに追い打ちをかけるならば、アテンザXD、320i(非Mスポ)、320i(Mスポ)、420i(Mスポ)ともハッキリ差がありました。けどそんなアテンザや3er/4erもスカイラインの前では「セダン」を名乗るのがおこがましいレベルです。じゃあなんでスカイライン買わないのかって?あのクルマの唯一の弱点がどうも受け入れられないから・・・足踏みサイドブレーキ(レクサスも同じだけどね)。まだ3erのレバー式の方がいいかも。
レクサスISはとってもいいクルマ!!という意見には部分的には賛成します。あのミッションとハンドリングならば多少は高い車両価格も納得できます。さらに横滑り防止装置が派手に介入するくらいに切り込んでもシートが据え付けられている部分の剛性が高い!!これはトヨタ車じゃねー!!1700kg近い車重も納得・・・なんですけど、それ以外の部分に気になるところが出ています。どうもドアの作りが甘いです。ちょっと重すぎるボデーに自然吸気エンジンでは、V6の3.5Lあっても立ち上がりはパンチ不足です(中速域は流石の底なし沼ですけど!!)。
スカイラインとISはどちらも高いクオリティを持つクルマですけども、スカイラインは「日産のプライド」が世界ナンバー1を追求する時にしばしば発揮される「ハイテクと感性」で磨かれた逸品で、ISは「レクサスのプライド」らしく、良いマテリアルを配置してクルマの価値を底上げする手法が取られています。どっちにより「価値」を感じるかはユーザーの好みの問題なんですけど、ただハッキリ言えることはこの両車の前に全てのDセグは「劣る」存在でしかないです。Cクラス、3er、A4、ATS、パサート、レガシィB4、アテンザ・・・このままではどうやっても逆転することは無理っぽいです。ただ唯一の例外があって・・・それがホンダ・アコードHV。
スカイラインとは別路線ですが、このアコードもアメリカ市場で磨かれて、いい意味で「豊かさ」を示すクルマになりました。スカイラインやISほどの飛び道具はないですけども、(セダン的な)居住性・(セダン的な)操縦性・(ノンジャンルな)経済性を発揮してます。一世を風靡したアクアに対して、ノートe-POWERが力づくで圧倒したように、2011年の発売と共にスマッシュヒットしたカムリHVを、「実力」でなぎ倒した存在がアコードHVです。トヨタの4系列ディーラーで販売するカムリHVに対して、軽自動車やヴェゼルばかりで、ホンダカーズの店頭になかなか並ばないアコードHVが勝つのはよっぽどのことで、興味を持って寄ってきた人をことごとく悩殺するくらいの「インパクト」があります。
北米でもかなりやられていて、トヨタも「カムリvsアコード対決」は明らかに分が悪いとわかっているようで、50歳以上のユーザーが多いアコードHVへの刺客として、「プレミオ/アリオン」と「マークX」を単なるフェイスリフトに止まらない大規模な「全身整形」を施して売り出しました。そもそも322万円〜のカムリHVと、385万円〜のアコードHVですから、価格差があったわけですが、それでもホンダが優勢!!だったら「リフォーム」したマークXを265万円〜、プレミオ/アリオンを190万円〜をアコードHVにぶつける!!という徹底した価格勝負に持ち込みました。あれ?環境技術のトヨタじゃなかったの?もう10年以上も放置されている旧型の2.5LのV6や、1.5L直4でコストをかけずに勝負をかけるなんて!!「民族オート」と同じ戦略じゃないか!!排ガス規制はズルするなよ!!
ということで「ローテクがハイテクを駆逐する!!」です。某雑誌ではシビック投入後にアコードHVが日本からフェードアウトすると報じられています。ホンダは1982年に日本メーカーでもっとも早く北米現地生産に乗り出したブランドです(運輸省の輸出規制によるメーカー別の割り当て台数に反発したらしい)。今では北米販売車の現地生産率は90%で、なんと北米で展開する大手ブランドの中では最も高い数字なんだとか・・・大統領に愛されるホンダ。「トランプさんよ・・・日本のユーザーは北米生産のNSXをたくさん注文してますよ!!」。シビックの生産ラインが埼玉県で稼働するわけですが、国内向けアコードも埼玉で作っているホンダにとっては廃止が順当!?みたいですね・・・。
「いいクルマを作ってくれー」とアホみたいに連呼しているオッサンの目には、アコードは良いクルマに映らないのかなー。メーカーにしてみれば「いいクルマ作ってもカーメディアに煽動されて全く良さが伝わらない・・・そんなクズが多い市場でアコードHVを売るなんてバカバカしい。アホは黙って『バイ』ハツにでも乗ってろ!!」なんでしょうね・・・。