「フランスのBMW」といった表現が個人的にはしっくりくるブランドがプジョーです。どこがBMWなんだー!!と言う人もいるかもしれないですが、走りを愛するユーザーのことを考えて、独特の乗り味にこだわるブランドという意味では、同じベクトルじゃないかと思います。別に「フランスのマツダ」でも「フランスのアルファロメオ」でもいいですけども、マツダだとちょっとマニアック過ぎる? アルファロメオだと100年前(1910年〜)にはもうすでに4輪車を発売していたので歴史が長過ぎ。BMWならやっと90年くらいなのでちょうどいいかなー。
とりあえずプジョーに乗っていれば、「この人はドライビングが好きなんだな!」という印象は与えられるはずです。その辺も、BMW、マツダ、アルファロメオと同じです。最近ではどこぞのライバルメーカーの陰謀からかプジョーを含むPSAグループのクルマの評判は、日本のカーメディアにおいてはなぜか非常に低調な気がします。島下泰久さんが引き継いだ「間違いだらけのクルマ選び2017」では珍しくプジョー308が絶賛されていましたけども、それでも内容から308が欧州車の中でどれだけの個性が出せているか!?端的に言うとVWゴルフやメルセデスAクラスと比べてどうなのか!?について言葉が足りないのが残念でした。
プジョー、BMW、マツダ、アルファロメオ。この4ブランドはとにかくクルマ好きの気持ちを掴むのが上手いです。スポーティを意識させる演出と、「スペシャリティ」感を醸すデザイン。実際に速いか!?ではなくて、運転していて満足できる、喜んでお金を払いたくなる!!そんなクルマ作りです。この4ブランドが特に輝いたのは2003~2007年くらいの間でしょうか。名車E46の後を受けて高級化と過激な足回りのMスポで人気を博したE90を日本でたくさん売りさばいたのが「BMW」。E46のハンドリングとE90の機動性・高級感をFFベースで作り上げたプジョー407。さらに世界の度肝を抜いたのが4800mm以上のド派手なラグジュアリーボデーとなった「クーぺ407」。
E46に真っ向勝負を仕掛けた名車156の後を受けて、アルファロメオ最高傑作として発売された159。そしてフォードの後押しを受けて、BMW、プジョー、アルファロメオ、ホンダ(アコード)、トヨタ(アルテッツァ)をまとめて乗り越える稀代の名車GGアテンザを生み出したマツダ(このクルマは世界で爆発的に売れた!!)。もうメルセデスとかアウディとかスバルとか・・・とりあえずは中型車を選ぶにあたっては視界に入ってきません。世界中のあらゆる年代のクルマ好きを喜ばせる為に、大衆的な中型スポーツセダンを徹底的にブラッシュアップした4ブランド・・・それとこれらに先鞭をつけた「P10プリメーラ」を生んだ日産。
4ブランドの現行モデルはCセグ、Dセグでライバル関係にあります。アルファロメオのDセグ復活により、日本市場でも久々に4ブランドの揃い踏みとなる予定です。BMWからのベストチョイスは、420iグランクーペMスポ。この4ブランドでは4ドアクーペスタイルがデフォです。BMWのF30系派生モデルでは最もタイトなハンドリングとアクセルレスポンスを発揮しています。実勢価格は550万円前後で、他と比べてやや割高ではありますが、BMWってやっぱりスポーティだったんだと実感できる希少なモデルです。
マツダはアテンザXD。ハンドリングに秀でたセダンだと思っていたアテンザシリーズですが、ドイツでは先代以前からディーゼル搭載のGTツアラーとして高い評価を得てきたクルマみたいです。ドイツで輝く姿と、ガソリンエンジン・オンリーで売ってきた日本では、全く意味合いが違う!!という意見もあるようで、現行でディーゼルが発売になり「グローバルツアラー・アテンザ」の本当の姿が日本でも見られる!!と輸入車好きを中心にカーメディアでも盛り上がりを見せました。しかし先代までのアテンザが日本で搭載していたMZRエンジンの実力も確かではありました。とりあえず方向性は変わっても3世代に渡ってファンを増やし続けるアテンザはいよいよミドル・スペシャルティ・セダンの「日本代表」といった風格は出てきました。
いよいよ日本にも投入されるアルファロメオ・ジュリアもベースエンジンはディーゼルになるようです。基本的なコンセプトは3erを追いかけていて、日本やアメリカ、中国でもミドル・スペシャルティ・セダンとして確固たる地位を築いた3erを仮想ライバルとして、市場を盛り上げることで、アルファロメオが市販車販売で生き残る道を探っているようです。北米市場を意識した2Lガソリンターボのベース車も280psのハイチューン仕様になっています。2Lターボで300ps、3Lターボで400ps。もちろんターボのメリットはROMチューンで様々なスペックのグレードを1つのエンジンとターボチャージャーで作れる事なんですけども、マッスルなアメリカでの相場がこれからの数年で世界の常識になるような気がします。
そしてプジョー508は、2017年からはいよいよ日本でのガソリンモデルの販売を終了して、ディーゼルのみとなりました。「GT」グレードはマツダが捨て去ってしまったFF車によるフロントダブルウィッシュボーンを配備していて、2000年代に勃興したFFの「GTサルーンツアラー」(アテンザ、アコード、156、407)を思い起こします。ホンダがフロントDWBをやめたので、マツダもやめた!?そしてアルファロメオはマセラティやダッジとのプラットフォーム共有を目指してFR化に踏み切りました。プジョーがやめたら世界からハンドリングのFFは消える!?・・・一応フロントに重厚なサスを使うアウディやボルボ(S90/V90のみ)がいますけどね。430万円というお手軽な価格で、(BMWに比べれば)静かなディーゼルと2000年代の楽しかった時代の記憶が手に入る・・・もしアテンザ、アコード、3er、ジュリアなどで迷っているならばプジョーへ行ってみるのもいいかもしれません。
↓絶版となった508ガソリンターボの中古車が215万円(24000km走行)