國政久郎著「営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由2」

日本で偉そうにクルマ語っている輩を一気に黙らせる!!という意味で、これは名著かもしれないです。警告しておきますが、「ニワカ」のスバルやBMW愛好家は読まない方がいいですよ(結構ショックデカイと思います)。

素人には反論不可能なことをつらつらと書いて、クルマ屋のオッサンがいい気になっているような本です。架空の日本車、架空の日本メーカー開発者をターゲットにして「間違った進化をしている」「早く気付け!!」と啓発しているように見せかけて、大多数の自動車ユーザー読者を馬鹿にしている。「オマエらが『いいクルマ』だと信じているそのモデル・・・実際はカスだよ」まあそう言ってやりたい気持ちはわからないでもないですけど。

「極論を言いたくて仕方ないオッサン」ってその辺にたくさんいますよね(オマエもだろうって!?)。この本の著者は「重ステ、生ブレーキ、リジッドアクスル、この3つこそが機能性を考えれば理想的なんだよ!!」と言いたくて仕方ないようです。けどオッサンの極論がそのまま「正解」になるならば、「仕事の難しさ」から簡単に解放されて、この資本主義の世の中は成功者で溢れているだろうに・・・。水野和敏さんみたいな「天才」の極論なら通用する、いや極論で通用しちゃったから「オレは天才なんだ!!」「非常識な本質」みたいなことをご自身の著書で書いておられるだけですね。

國政さんの決まり文句なのか、文章を代筆している森慶太さんの意図なのかわかりませんが、とにかく日本メーカーの開発者の無知を疑う文言が目立ちます。開発者をバカにするのは年配の老害ライターの特徴なんですけど、明らかに挑発していますね。大手メーカー勤務の人々がこれを読んだ時には、「極論が好きな奴は大抵は仕事ができない」とか「人の仕事に文句をつける前に一度くらいメーカー勤務を経験したら、いろいろわかることもあるんじゃねーの!!」くらいには思うんじゃないかなー。

著者の主張するように、最近の市販車が「100点」を目指して作られていないというのはわかるんですけど、その100点への過程に「重ステ、生ブレーキ、リジッドアクスル」があるとは思えないです。喜ぶ人はいるでしょうけど、ユーザーの誰かが絶賛したら100点とかいうルールでは、自動車産業は成立しないです。読み手を全く信用していないからか「リジッドアクスルの利点なんてほとんど誰も知らないだろう」とか書いてますけど、マスタングのFMCの時にそこいらじゅうのレビューで言及されてましたから、熱心なカーメディアの読者ならわかっているでしょうし、そんなことはメーカーも先刻承知のことでしょう。・・・なんとなく読んでてストレスが溜まりそうなのわかりますよね?

そもそも「日本車=疲れる」というのもあまりピンと来ないです。オッサンの世代にしか通用しない概念を持ち出して話を始め流のもなんだかなー。日本車も疲れないモデルたくさんありますよ。・・・つーか圧倒的に長距離ドライバーが多いのは、乗用車よりもトラックなのだから、トラックには疲れないように工夫する!!って当たり前のことじゃないですか!? それがまるで全て「リジッドアクスル」のおかげで疲れないみたいなこと書いてあるのもちょっと気になります。

ツッコミ所がありすぎて、もっともっと反論したいことはいっぱいあるんですけども、スバル、マツダ、BMW、メルセデスなどに喜んで乗っている人がこの本を読んだらどんな顔するんだろう?と想像すると、ちょっと面白いかも(性格悪いなー)。この一冊だけで雄弁なクルマ好きなオッサンが沈黙しちゃうんじゃないの? この本を読んで思ったのが、ここで自分が沈黙してしまったら、もう自信を持ってブログを書くこともできなくなるんじゃないか!?という悪い予感が・・・何かを発信しなければ。たとえ間違っていてもいいからリアクションするべきだ!!若輩ものですけど、それなりの数のクルマに乗ってきてますし、真摯にメーカーの取り組みを感じて、しばしばそのモデルに感動することも何度もありましたから、「日本車は全部ダメ」と言われて沈黙したら自分の感性を否定することになるなー。

國政さんは「ザックス」のダンパーがいいと書いてますけど、日本のサプライヤーの作ったダンパーでザックスと同等かそれ以上に感銘を受けたものもたくさんあります。ダンパーに関しては海外サプライヤーを使わない日産やマツダのアシは非常にレベルが高い。VW、アウディ、BMWに負けているとも思わないです。ここ数年に乗った中で、これは買いたいと思わないアシだったのは「MINI」「Aクラス」「WRX-S4」「レヴォーグ」「アクセラ」「ヴェゼル」くらいなものですよ、この5モデルは長距離乗ったら疲れるでしょうね・・・。

逆にこのモデルならまず大丈夫!!というのは、「スカイライン350GT」「アテンザXD」「アコード」「レクサスGS450h」と言った比較的に大型なモデルが多いかも。これだけしっかりできていればいいんじゃないの?なんの不満がある? ラック&ピニオンEPSで、倍力ブレーキで、マルチリンクですけど、それでいいんじゃないの? これ以外の軽自動車やコンパクトカーなんてそもそも高速道路で走ることなんか考えてないですし、長距離&長時間での使用なんて想定してないですけど、そういうモデルを捕まえて「疲れる」って言われてもさ・・・そりゃそうでしょ。

ただし國政さんが理想のハンドリングをもつ現行モデルとして挙げていたのが、このブログでもちょくちょく高評価をしている「プジョー508GT」。これ出されちゃったら、もうこれ以上はこの本をディスれないなー。「ちゃんとわかってんじゃん」・・・と上から目線でちょっぴり納得しちゃいましたー。先代のマツダ・アテンザに乗ってみろ!!とは書いてくれないのは残念ですけど。アルファ・ブレラやアルファ156も含めて、FFのフロントDWBのモデルを、「3」では再評価してほしいですね。

最新投稿まとめブログ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です