クルマを判断する基準が曖昧な時代・・・
『液晶パネルがこんなにデカイすごいね!!』『様々な自動運転機能が追加されています!!』『流れるウインカーがかっこいい!!』・・・はぁ!?クルマの基本性能と全く関係なくない!? クルマ好きの皆さんには、終末的な様相を呈した世間が少々恨めしく感じて、とってもストレスフル・・・そろそろ「いい加減にしろ!!」とメーカーやカーメディアに絶縁状を叩きつけたくなる頃では!?
市場は静かに地殻変動を起こす
バカが設計・製造して、バカが販売して、バカが買って、バカが法整備する『バカばっかり』な日本の自動車環境。いい加減に目を覚まさないと、そのうち大変なことが起こるのでは!? 例えば日本で一番よく売れているミニバンといえば日産・セレナですが『セレナe-powerハイウェイスターV』の本体価格が340万円。さらにセットオプションを入れると乗り出しで400万円を軽く超えるらしい(リアサスはトーションビームですよ!!)。『EV』『プロパイロット(自動運転)』をどちらも詐欺レベルに盛り込んだ、実質250万円くらいのクルマでも『高品質詐欺』でごまかして売る手法が広まっている。
中国・ASEAN車の『実力』!?
いずれASEAN地域からプロドアが日本に押しかけてくるはず。トヨタ傘下でダイハツの技術協力を受けているマレーシアメーカーですが、ダイハツもすでにASEANが主戦場になっていて、今後はプロドアとの合弁でスズキを超える「アジア王」の座を狙っています。戦略車はズバリ4m級の3列シート&スライドドア、小型自然吸気エンジンにマニュアルミッションを備えておよそ90万円くらいの素朴な『ドライバーズ・ピープルムーバー』。これが日本に入ってきたらどーなるか!?トヨタはすでに自社生産モデルからトーションビームは廃止すると宣言。明らかにダイハツ&プロドアと住み分けを図っています。もしかしたらアメリカ進出まで狙っているかも。
格安登録車の時代がきっとくる!?
ちょっと前まではASEAN市場の小型車は安全性に疑問があったけども、今ではホンダの軽自動車がBMWやアウディよりも高い衝突安全性を示す時代になっている。これからは世界の頂点にあって30000ドル以上でも北米でえガンガン売れる「一流スペック」のクルマと、安全性と経済性を追求した「セカンドライン」のクルマが、世界の主要市場でカチ合う時代になりそう。「一流スペック」ではないのに、後付け機能でユーザーを欺くモデル・・・現在クルマ好きをイライラさせるマーケットの主流、は一気に淘汰されていくんじゃなかろーか!?ということで、クルマの本質を決して忘れてはいない!!今でも日本で買える期待の『セカンドライン』を5台選んでみました。
第5位 VWポロ (209万円〜)
世界のフォルクスワーゲンが誇る『セカンドライン』ポロ。以前に別のブログで「ノックダウンモデルはインドで50万円だ!!」とか書いたら、どっかのオッサンがコメント欄で暴れ出して「ソースを出せ!!」とか言うんですよ。日経新聞などで連日、50万円以上に覚悟して突っ込む日産、トヨタの決意などが話題になっていた頃なので、ありえない反論だなー・・・って思いましたね。オッサンならとりあえず新聞読めよ。じゃないとただのバカになっちゃうよ。UP!が発売されてからはやや価格が上がりましたが、VWのボトムを担っていた頃のポロのドイツ価格は6000ユーロとかだったけどな。
209万円が高いか安いかはユーザー次第じゃないでしょうか。VWの『ファーストライン』であるアルテオン、パサート(2Lターボ)、ゴルフGTIと比べれば、多少荒さはありますけども、価格も半額以下なことを考えれば全面的に許容範囲ではないかと思います。ディーラーに200万円からはみ出る金額を頭金として払い、ゆるゆるのスルガ銀行に200万円を粉飾融資して貰えば誰でも買える価格なのは魅力。とりあえず輸入ブランドに乗っておきたい人にはコスパ抜群。今どきはカローラアクシオやフィットでも200万円は軽く超えちゃいますから・・・。
第4位 スズキバレーノ (154万円〜)
VWポロのライバル車。見た目もそっくり。ポロと同じ1L直3ターボを選ぶと161万円で済むので約40万円の節約になる。しかもポロはちょっと問題ありな7速乾式DSGに対して、バレーノXTはリッチなトルコンATを装備。ガソリンターボに最適なミッションは何か!?という論争は今も決着がついてないですけど、DCTの『アウディ派』、トルコンATの『BMW派』、CVTの『スバル派』の3大派閥がありますが、バレーノは「インドのBMW」です。いやBMWがBセグを作ったらバレーノになる!!というべきかも。
最近のスズキはデザインでもなんだかBMWを意識している部分があるようで、このバレーノも突然のフェイスリフトで『象徴的』なグリルが与えられる!? スイフトとは違って平べったいので、欧州のグランドツーリングカーみたいなスタイルを持ってます。機能とデザインでがんじがらめになったスイフトに対して、なんのしがらみも感じないバレーノは実にのびのびしてる。ひと昔前のカローラランクスやマーチを見るような古臭さは否定できないですけども、それを生かしたカスタマイズもあると思うんですけどね・・・。
第3位 日産キューブ (162万円〜)
5位、4位の流れだと、ルーテシア、デミオ、フィットが登場して終わりなんでしょうけど、それじゃつまらないので目先を変えてみました。日本市場にはまだまだこんなにいいクルマがある。1998年に初代が登場した日産キューブ。その直後に入社したカリスマデザイナー中村史郎さんによって、驚異の大変身を遂げた2代目。それからデザインに関してキープコンセプトとなった現行の3代目が登場したのが2008年なので、間も無く4世代目に移行するらしい。
3代目マーチ、33Z、GT-R、さらにマツダアテンザの原型になったと噂されるインフィニティ・エッセンス(V37のコンセプトモデル)を生み出してきた、スーパーデザイナーが最も強調する自信作が2代目キューブだそうです。日本の伝統を取り込むデザインとして「牛車」をモチーフにしたんだとか。なるほど。日本車はマツダデザインにしか目がいかない「感性に乏しい人々」が繁殖してますけども、やっぱりデザインは日産だよな・・・。
第2位 ホンダ・シャトル (177万円〜)
Bセグの世界観を無理やり拡大するホンダの手法は、『勤勉』でもあり『魔法』でもある。それと同時に宿敵トヨタの『ヒエラルキー主義』への徹底したアンチテーゼなのかもしれません。トヨタにおいて、クラウン>マークX>カムリ>プレミオ>カローラ>ヴィッツの『下克上』は意図されないですし、マツダもアクセラでメルセデスCクラスを越えようとか大それたことは考えないですけども、ホンダはもう確信犯の『アジテーション』から計画を始めてます。シャトルでVWゴルフヴァリアントを越えよう。シビックセダンでBMW3シリーズを越えよう。
ホンダはBセグのシリーズを増やし中国&ASEANで成功を収めています。つまり中国、台湾、マレーシアのメーカーにとっては「国民車」として最も売れるサイズであるBセグのベンチマークがホンダになっています。ホンダ水準のBセグが作れるならば、アメリカで売ることも可能ですし、日本市場で勝負することもできるでしょう。欧州で人気のマツダ、スズキ、PSA、VWが相手だろうが怯まない。シビックのような300万円クラスのマルチリンクを装備するモデルに勝つのは難しいかもしれないですが、トーションビームでAWDもままならない、ミッションも未成熟なVW、PSAのCセグくらいなら『下克上』も可能かなと思います。ゴルフヴァリアント、308ヴァリアントより乗り心地いいと思うよ。
第1位 ホンダ・グレイス (176万円〜)
ベース車のフィットより高い剛性、安全性、静粛性など基本性能をスープアップした、個性派ホンダの中でもさらに「裏メニュー」的な存在。昨年のマイナーチェンジが好評で、クルマの「素材」としての良さが数段上がったとのこと。遅ればせながら年明けに乗ってきましたけども、やっぱりホンダは正義だと改めて思いました。輸入ブランドばかりに目がいってしまう人々に一言申し上げたいですが、このグレイスやフィットのマイナーチェンジで『行われた』ことは、今時の輸入ブランドでは真似できなくなりつつあります。厳密に言うならば後輪駆動のメルセデスとフィアット以外の欧州ブランドでは無理。(BMWは独自にミッションを作れ!!)
クルマの印象がガラリと良くなる要素は、ステアリングフィール、エンジンフィール、ミッションフィール、サスペンションフィール、ロードフィール(タイヤ)の5つ。ホンダセダンのボトムラインを担うグレイスは、中国&ASEAN向けの廉価モデルかもしれないですが、ロードフィール以外の4つの要素をホンダは主体的に開発することができます。しかし多くの輸入ブランドはエンジンフィールを進化させる術を失っていて、ミッションフィールはZF、ゲトラグ、アイシンAWなどの外部サプライヤーに依存しています。失礼ですが、進化する状況を自ら放棄している。もっぱら付加価値の向上のために、「液晶パネル」面を増やしたり、走りとは関係ないところで頑張っていくしかない状況に追い込まれています。
クルマ本来の素性をよくする改良ができない環境は不幸だと思います。名指しで失礼ですが、ボルボ、BMW、ジャガー、アルファロメオといった世界戦略を目論むプレミアムブランドの多くが、エンジニアリング上の『貧困』状態にあります。『だからなんなの!?』と言われたらそれまでなんですけども、クルマブログを書くものとして、正しい認識のもと意見を出していくことで、少しでも『貧困』が解消されたらいいなと思う次第です。
最新投稿まとめブログ
千葉虎雄
<エンジニアリング上の『貧困』状態>とは、言い得て妙ですね。「印象」や「雑感」的な、言語表現しかできてない「バイトライター」たちが作り出す、残念な日本の車メディアでは、お目に掛かれない視点です。
いつも読んでいます。ありがとうございます。
wpmaster
コメントありがとうございます。気づいてもらえるのは、本当に嬉しくて励みになります。これからも頑張ります。