BMWの大きな誤算
5年くらい前にBMWについて批判的なことを書くと、結構な数の文句が来たものだ。とても気に入って買ったMAZDA車の美点をあれこれ書いていて、ちょっと引き合いにF30系3シリーズを持ち出しただけで、謎のフルボッコ状態。「は?MAZDA笑わせるぜ!!」「比較してんじゃねーぞバカが」「クルマの次元が違い過ぎる」・・・とまあ貰っても理解に苦しむ高圧的な内容のものばかり。どちらが能力的に優れているか!?という議論に対して、「貴族」と「平民」だったら「貴族」が上に決まってんだろー!!ってな短絡的なカースト論で、変に勢いが付いたコメントばかりで閉口したものです。
「貴族」が没落する時代
手前勝手で恐縮ですが、私がブログを書いてきた6年余りの期間で、自動車好きな連中の『世の中』もだいぶ変わってきたような気がします。大きな変化としては、BMWがとにかく売れなくなったこと。あれほど崇拝していたカーメディアが手のひら返しを食らわせて、場合によっては懐疑論まで持ち出す始末。長らくメルセデスに追従した設計を基本としていて、東アジア圏では「貴族」であることを主張して来ましたけど、そのメルセデスが2013年頃からやたらと「脱・貴族」的な姿勢を打ち出してしまった!!これまでの保守的な風潮をかなぐり捨てて、風格とか伝統とかやたらと無視して自由にクルマ作りを始めた。そうなるとメルセデスありきのインデックスなスタンスを取っていたBMWは、完全にハシゴを外されてしまった感じになる・・・。
メルセデスの経営はスピード感が溢れている
「貴族」をやめたメルセデスは、ある程度のキャパを出すプラットフォームを日産と対等同盟によって作り上げていくようだ。主力FRモデル用の設計を日産と協業するだけでなく、FFモデルは三菱車のコンバージョン。Xクラスは日産からの完全OEM。あとは北米アラバマ生産の特殊マーケットSUVもあるけど、とにかく由緒正しいメルセデスなんてものに価値を置いていない。SクラスもEクラスも中国で開発しているらしい(日産に近いし)。グローバルでFR車をある程度のキャパで展開しているのは、メルセデス、BMW、日産、トヨタ、ジャガー、マセラティ&アルファロメオくらい。まさか名門メルセデスがプライドをあっさり捨てて日産と対等同盟に走るとは思ってなかった。しかし時間が経つにつれてどんどん苦しくなったのはBMWの方でした・・・。
日産を取られてしまったのは痛い
BMWもトヨタとの協業に踏み切っていますが、現段階ではディーゼルエンジンの供給、ハイブリッド技術の導入、スポーツカーの開発の3点で大きく動いているだけで、主力モデルの開発までは踏み込めていない。素人のジャッジで大変に恐縮だけども、ドイツメーカーがFRを作るためのパートナーを選ぶとしたら、やはりトヨタよりも日産の方が魅力的だよなー。実際のところ日産・上三川工場でFR車を一括生産していて、そのクオリティが非常に高く、メルセデスとの対等協業に全く不足はない。一方でトヨタとBMWではいきなり合体はあまりにイメージに隔たりがある・・・。
トヨタとの合体は無理だ・・・
BMWとトヨタの協業は2011年頃から言われていたので、その時点で両者が決断していたら、スケジュール的に新型クラウンと新シャシーになった現行5シリーズは同じシャシーを使っていた可能性もあった。おそらく両者はそれを念頭に話し合いを進めたのだろうけど、もし早いタイミングで実現していたらどーなっていただろうか。当時の感覚では5シリーズの魅力が大きく減ってしまう懸念があったですけども、現在では500万円程度の取引価格になっている未使用の523dに対して、クラウンの売れ筋グレードは600万円前後。先代まではクラウンは「平民」で、5シリーズは「貴族」ってことになっていたけども、まさかの下剋上が起こっています。
バングルが恋しい
メルセデスもトヨタも独自のマーケティングに従って、実際にニーズがあるクルマをシビアに作っています。手軽な価格のクルマなら売れて当たり前ですが、Eクラスやクラウンは実によく日本市場も研究して作っていて、それぞれに狙いは違いますけども、かなり効果的に潜在ユーザーをおびき寄せて囲い込み、ピンポイントに爆撃していると思います。それに対してG30系5シリーズはあまりに無策だった気が・・・。皮肉なことにあまりに後ろ向きな昨今のビーエムを見ていると、今こそクリス=バングルのような強烈な個性がいれば、何らかの効果的な変化が出せるのでは思ってしまう。
例えばエンジン・・・
素人が書くのはちょっと気がひけるけども、エンジンに関してもBMWは非常に後ろ向きだ。代名詞の直列6気筒ユニットは、直噴ターボとなった『N55』からかなりロングストロークになった『B58』へと変わった。そこで何が意図されたか!?直4のB48、直3のB38とボアピッチを統一したモジュラーユニットとして、コスト面での改善を図り、結果的に非力なB48/B38の弱点を補うために、BMWとしては理解しがたいレベルでロングストローク化が行われている。M3/M4に搭載されているS55はその名前が示すように旧式のN55をベースとしているのだけど、おそらくB58を同様に高性能化する考えはないと思われる。
5er用ユニットと発電モジュールが同じってどーいうことだ!?
5シリーズの主力ユニットは、直6も直4もモジュラー、ロング化により、その特性は回転域を極力変えずにCVT的な制御をするZF8HPとの相性を重視して設計されている。電動車i8のレンジエクステンダーとして使われているB38を同じボアピッチのユニットをそのまま非HVの駆動用と使ってしまっていることに矛盾を感じるべきなのかもしれない。トヨタもアクア用の1.5Lとは全く異なるボアピッチの1.5Lユニットを非HVに使っている。結局のところB38、B48、B58は将来的なHV化を見据えた低回転志向のダイナモタイプのユニットなのだと思う(つまり走るエンジンじゃねーってこと)。これを5シリーズにそのまま使うという判断はどーだったのか!?
高性能車作り・・・
Eクラスは48VのISGを搭載した新設計の直6ターボをかなり高回転で使えるようにした。ポルシェ、アルファロメオ、ホンダのような気持ちよく回るターボユニットを作ろうという意図が見られる。日産のインフィニティQ60(フーガ)やQ50(スカイライン)に搭載される『VR30DETT』は電動装置なしのツインターボながら6400rpmにピークを持ってきていて、そのスペックから心地よいフィールが連想できるし、実際に北米での評判は上々のようだ。そしてトヨタのクラウン用ユニットは、100psを超える強力モーターによる電動加速を武器にしていて、今までとは全く違う乗り味を実現している。ベースの直4ターボもB48に比べれば数段に優れた回転域を持つユニットだ。つまりFR4陣営のうち、BMW以外の3メーカーは、「コスト」「燃費」「環境」に配慮した、どんなメーカーでもシンプルに「エコ」を追求するようなローテクで面白みに欠けるユニットではなく、高性能車としての「差別化」を強烈に意識したユニット作りを行っている。この辺にBMW離れの原因が・・・。
新しいパートナー
さすがに上級モデルの低迷が待った無しの段階まで来ているBMWも、自らのマーケティングを修正する動きが出て来たようだ。4社の次にFR車を多く販売するジャガーを誘って新たな「欧州アライアンス」を実現させるようだ。ジャガーはフォード時代からあるV8とV6のスーパーチャージャーユニットの販売を取りやめる方針を打ち出し、次世代の高性能モデルにはBMWのV8ツインターボを使うことになるらしい。さらにジャガー側が要求するならば直6ユニットもBMWとジャガーで同じものを使うようになるかもしれない。
BMWの新型「3シリーズ」について研究開発担当重役が語る 「過去のモデルの方が良かった」という批判に反論 https://t.co/YRHpIyimvy @autoblogjapanさんから
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2018年10月16日
まさかの批判
昔は良かった・・・E46のことですかね。同じくらいの寸法で2シリーズ・グランクーペが作られているようなので、それを買えばいいんじゃない。そして2シリーズグランクーペがBMW復活のきっかけになるかもしれない。4ドア車にこだわるのだったら、後ろもゆったりと座れる新型3シリーズがいいと思う。新型3シリーズは来年に予定されている日本発売が楽しみだけど、今年から来年にかけてボルボS60、プジョー508、マツダアクセラセダン、ホンダインサイトといった新進気鋭の革新的モデルが、BMW3シリーズを目掛けて突進してくる。Cクラスも電動モジュールを付けて進化を果たしているから、イバラの道になりそうではあるけども・・・。カローラアクシオまで大型化してライバルに名乗りを挙げる!?400万円くらいのGRMNアクシオとか出て来たら話題になりそーだ。
【ニュース】BMW 4シリーズ クーペ/グランクーペの特別仕様「M Spirit」が登場 – Webモーターマガジン#ニュース #CAR #新車 #BMW #4シリーズ #420i_M_Spirit #特別仕様
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ちょっと気になる4シリーズの限定車。なんといっても価格がびっくり!!3シリーズ(320d)の未使用が350万円、4シリーズ(420i)の未使用だと400〜450万円くらいが相場らしい。ちょっと前に出てた限定車(700万円近い)が全く売れなかったから、今度はかなり安く設定したようだ。早い者勝ち!?
【噂】ジャガーの次期型「Fタイプ」は、BMW Mから供給されるV8ツインターボ・エンジンを搭載? https://t.co/xmLInQtujW @autoblogjapanさんから
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2018年10月16日
「おっさん御用達のBMW・特選グレード」
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↓これをリアに貼っておけばスペシャル感が結構出る。