MAZDA3はそんなに別次元なのか!?
1980年発売の「5代目ファミリア」、1989年発売の「初代ロードスター」、2002年発売の「初代アテンザ」、2012年発売の「初代CX-5」・・・どうやら2019年発売の「初代MAZDA3」としてマツダが業界全体を揺るがせた数々の歴史的モデルの仲間入りとなりそうだ。マツダの「縦軸」では重要なモデルであることは間違いないけども、さて同時代の「横軸」では一体どれほどの実力を持っているのだろうか!?そこで日米欧で中型車を販売する13ブランドからそれぞれCセグ(本体価格400万円以下)で選んで比較してみた。ただしジャガーは対象車両がないので棄権。トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、マツダ、スバル、メルセデス、BMW、VW、アウディ、ボルボ、アルファロメオの中で頂点を極めるのは!?
おそらく予想通りの結果です・・・
採点項目は、実際にクルマを選ぶ時に比較するであろう性能上の特性8項目を5点づつ最大40点満点としました。8項目は「静粛性」「ハンドリング」「出力」「燃費」「インテリア」「エクステリア」「サス」「ミッション」・・・まあ他にも「トータルバランス」や「個人的相性」で選ぶ人も多いでしょうけど、あまりに主観的過ぎるので除外しました。全車乗ってはいますけども、あくまでスペックからある程度は想定できる、ごくごく「一次的」な選考基準としてまとめました。各項目の得点は5点=突き抜けた存在、4点=満足度高い、3点=許容範囲、2点=改善を願う、1点=論外・・・となっています。
第12位 日産シルフィ・21点
(静粛4、ハンドリング3、出力2、燃費3、インテリア2、エクステリア2、サス3、ミッション2)
ちょっと失礼だけれども、大衆車とは一線を画すべく最先端を走る「13ブランド」においては「場違い」な雰囲気すらある。とりあえずブルーバードの後継として置いてあるだけのモデルで、現行のデビューは2012年12月にまでさかのぼる。1.8L搭載車で199万円という価格設定は明らかに古い世代のものであり、コスパが良いとされるMAZDA3やカローラフィールダーと比べてもかなりお買い得に感じる。今回の13ブランドで最も低価格を実現しているインプレッサの1.6Lが194万円〜なので、「コスパ」という項目を用意すれば惨敗は逃れられたかもしれない。
デビュー当初から大味過ぎるデザインは全く話題にもならなかった。日産にとっては特別に売りたいモデルではない。この後にフルモデルチェンジを予定していたスカイラインやティアナの需要を喰うことなく差別化するという意図は概ね達成されている。引退世代向けのダウンサイジングモデルという位置付けが妥当。しかしCセグといえども「13ブランド」の他社ではそれなりに力の籠った演出をしていてブランディングには余念がない。方向性の違いもあるので仕方がないことだけども、エクステリア、インテリアの両方を「2」とさせてもらった。これではクルマ好きだけでなく、一般ユーザーの関心も得られないはず。
美点は静粛性の4で、単なるCセグよりもワンクラス上のCDセグを意識した作りになっているので静粛性が3の大多数よりも実用車として優れていると判断することもできる。特に特徴がない1.8L自然吸気の「MRD8E」で、ルノーのメガーヌRSやアルピーヌA110に搭載される「M5P」のベースとなるユニットで、ボア✖︎ストロークは全く同じ。日産の日本市場モデルで「MRD8E」を使うのはシルフィだけなので、相当な日産マニアなら注目すべきレアなモデルかもしれない。
約200万のベース車なのだから100万円前後のアップ幅でいくらでもスポーティな改良版を出すこともできたはず。近々e-POWERの投入が噂されているが(中国市場ではすでにピュアEV化)、もっと泥臭く、ジュークターボ用の「MR16DDT」もしくはそのユニットのチューンアップ版でターボながら6000rpmまで使えてしまうルノーの「M5Mt」(ルーテシアRSやメガーヌGTなど)に換装し、ミニバン(セレナ)と共通の冴えないジャトコ製CVTではなく、なかなかスポーティに仕上がりがいいルノーが使うゲトラグ製DCTがいいのかも。この企画でも最初からシルフィではなくアライアンス特別枠で「メガーヌGT」(339万円)を登場させればよかったのか!?ちなみにメガーヌGTを採点すると(静粛3、ハンドリング5、出力5、燃費3、インテリア2、エクステリア3、サス4、ミッション4)で29点です・・・ワォ!!
第10位 スバル・インプレッサ 23点
(静粛4、ハンドリング3、出力3、燃費3、インテリア2、エクステリア2、サス3、ミッション3)
まだまだフルモデルチェンジからそれほど経ってないのですが、鳴り物入りで投入された新世代アーキテクチャー「SGP」は、販売面ではアイサイト装備時ほどのインパクトは残せなかったようだ。アイサイトの時は、ライフサイクルの後半にさしかかっていた先代インプレッサがデビュー時を大きく超えるくらいの特需だったし、アイサイトが装備されるのが2Lモデルに制限されたので、1.6Lよりも高価な2.0Lの方が数倍売れるという状況だった。
その時にインプレッサを買ったお客さんはまだ乗り換え時期というほど経年が経っていないし、新型になってシャシーが全く変わったと言われてもデザイン的には見分けが難しいレベルだし、どーしてもMTに乗りたい!!というファンも切り捨ててしまった。スバルもあまりムキになって13ブランドのライバル車とガチンコとは考えていないようだ。216万円で信頼性の高いAWDシステムを持つモデルが買える!!というだけでインプレッサがナンバー1!!だという評価もできるし、今回の13台の中では「生活に欠かせないクルマ」としての需要を満たす唯一のモデルだ。他車の「趣味性」&「ブランディング」でユーザーを奪い合うとかいう不毛な競争にスバルはクビを突っ込んでいない。ちなみに今回エントリーの13モデルでは2番目に多い売り上げを記録している。
第10位 トヨタ・カローラスポーツ 23点
(静粛3、ハンドリング3、出力2、燃費3、インテリア2、エクステリア2、サス3、ミッション5)
欧州ブランドやホンダやマツダが大事にしてきた「ハッチバックスポーツ」の美味しいところをトヨタが横取りしようとしてる・・・とか言われているけど、トヨタも2001年からこのジャンルで試行錯誤を繰り返してきた。「カローラランクス」として日欧で同時デビューを果たし、当時のVテック搭載シビックに対抗すべく、ヤマハにチューニングを依頼した高回転ユニット「2ZZ-GE」を搭載したランクスZエアロを発売。その後に欧州ではVWゴルフが復権を果たし、今度はゴルフGTIを真似てV6ユニットを搭載するブレイドマスターを発売。タイプRもGTIも作ってしまった!!
そんなトヨタが2018年に新たにカローラスポーツを発売。これまでは欧州向けと日本向けではサスやボデー剛性が極端に違うモデルと作り分けていて、とてもグローバルモデルとはいえない別設計だったが、今回はかなりの統一が図られた模様。日本市場向けにもMTモデルも発売して「欧州仕様と同じですよ!!」をアピールしている。ちょっと主観が排除できない部分なので申し訳ないがインテリアとエクステリアが2。これが総合評価においては致命的だ。HVを選べば燃費が5になるが、ミッションは3になるので、ターボもHVも総合得点は同じ。もうちょっとトヨタらしく静粛性を頑張って欲しいかなー。
第8位 BMW1シリーズ 25点
(静粛3、ハンドリング5、出力2、燃費4、インテリア2、エクステリア2、サス3、ミッション4)
「Cセグ唯一のFR」という個性もそろそろラストで、他の市場ではFF化された次世代モデルが盛んにPRされています。おそらくFF化された次期モデルを採点すれば「静粛」「インテリア」が上がりそうなのでさらによくなるとは思います(もしかしたら「ハンドリング」が下がるかも)。日本市場の輸入Cセグではかなり愛されたモデルでした。元々はE46系までの3シリーズに設定されていたショートハッチバック版が1シリーズとして独立したものなので、3シリーズの最もスポーティな部分を受け持っていたグレードの後継となります。分離後の3シリーズはちょっと迷走気味でしたし・・・。
日本メーカーを圧倒するクオリティを誇ったゴルフがドイツCセグの顔として君臨しますが、「FR」という別のアプローチだからこそ日本のユーザーに選ばれたし、絶対王者に挑む二番手が強烈な個性を持っている!!これが日本のユーザーの心理をうまく捉えている構図だと思う。BMWが日本市場スペシャルとしてさらに各所に力を入れればさらにいいクルマになったかもしれない。ゴルフに対して明らかに分が悪いのは静粛性、出力、インテリアで、これはCセグ(小型車)への考え方の差なんだろうと思う。ディーゼルユニットを積んでも他車のように極端にバランスが悪くなることはないのはさすがBMWだなと感心するポインドですね。感動の意味を込めてハンドリングは5です。
上位の発表は次回以降に・・・
「その2」(続編)へのリンク
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