1、BMW・4シリーズ
「丸み」を帯びたボンネット前部と開き直ったかのような巨大グリル。そのままアルファロメオなどにOEMできそうなほど見事にエキセントリックなシルエットはアルファ・ジュリア(現行)以来のインパクト。賛否両論あるだろうけど、個人的にはこれはE39を超えてBMW史上最高のデザインになるかもしれない!?と思う。「丸み」の表現はMAZDA3のリアのピラーデザインなどで特徴的だけど、MAZDAの他のモデルでは割とスマートでオーソドックスなデザインが増えていて、「丸み」は最もスポーティなMAZDA3にだけ「特別」与えられている。
BMWが新型4シリーズのデザインで表現したかったものは、案外にMAZDAと近い狙いなのかもしれない。「丸み」というエレガントな表現でスポーティなモデルを構築することで感性が揺さぶられ、このクルマの「懐の深さ」を表現している(スバルとは違う!?)。
3年前の東京モーターショーはBMWにとっては悪夢でしかなかった。新しいフラッグシップとして登場した8シリーズと同じフロアのすぐ近くには、圧倒的な注目を集めるMAZDAの2台のコンセプトカーがあった。近くのBMWやポルシェが「完全無視」されるどころか、ボデーパネルの隙間がくっきり目立つ8シリーズに対して、MAZDAの2台はどうやって作ったの!?と疑問になるほどの精度でパネルのギャップが埋めてある。完全に勝負ありだ・・・。2019年の東京モーターショーからBMWやポルシェを始め輸入ブランドが一斉に消えるのも仕方のないことだ(出店料が一気に値上がりした説もあり)。
しかしさすがはドイツメーカー。決して腐ることなく復讐の機会を窺っていたようで、この新型BMW4シリーズはまさしく反撃の狼煙。アメリカ市場に2021年モデルとして発表されていて、来年にはおそらく日本にも入って来るだろう。どこかオッサンのスポツカー同好会みたいなノリが隠せず、やや不器用さが目立ってきた今のMAZDAデザインも、FR化されていよいよ4シリーズのライバルのような大人なクーペも出るかもしれないが、なんかストイックなんだけどオーソドックスで保守的な芸術志向が裏目に出る気がしないでもない。この4シリーズの登場で、前田育男氏にある種の危機感が芽生えて、次期MAZDAデザインはさらに良くなってくれるといいが・・・。