4、ポルシェ・タイカン
2020WCOTYデザイン賞でMAZDA3に2ポイント差(179対177)の僅差で敗れたが、トップ評価を下した審査員はタイカンが100人、MAZDA3が60人だったらしい。欧州系の評論家が多いからという見方もできるけども、そもそもクルマのデザインとは高性能車であることを表現するために創意工夫が凝らされ、進化してきた歴史があり、VWゴルフのようなモデルが主張するのは少々奇異に映るのかもしれない。MAZDAがポルシェのような高性能車を完成させた時には、さらに多くの審査員が好意的な評価をしてくれるはず。
ポルシェはMAZDAのことなど眼中にはなく、タイカンは「セレブのGTカー」として急速に広まっているラグジュアリーEVへの参入の第一弾。カイエン、パナメーラ、マカン、パナメーラシューティングブレークと次々とヒットモデルを生み出したポルシェだけど、多くの金持ち顧客からポルシェの走りができる実用車の需要を汲み上げてラインナップを拡大しているようだ。ブランド力もあるけど、需要さえ読み違えなければ確実に上手くいくビジネスになっていて業績は完全に右肩上がりでどこまでいくのだろう!?。
2020年を迎え「EVスポーツサルーン」の充実は、新たなセレブ像を提供することに成功し、その反動で高級SUV市場は崩れるかもしれない。コロナの影響で生産開始を遅らせているMAZDAはこれからFRのエンジンを搭載したラグジュアリーなSUVとサルーンを作る。ユーザーはマセラティみたいなエレガントさを期待してそうだけど、その時点で「タイカン」を発売したポルシェとはビジネスモデルが違う。もはや「タイカン」にはマセラティへの敬意などほとんど感じない。追求しているのは「ポルシェ」というブランドに相応しいパフォーマンス。とりあえず、MAZDAよりも多くのWCOTY審査員から「デザイン」で支持された意義は大きい。