テスラの欧州戦略
ちょうど1年ほど前に欧州市場に激震が走った。欧州ブランド、日本メーカー、韓国メーカーの関係者も驚愕だったけど、テスラ・モデル3がいきなり単月で2万台のセールスを記録する。これはガソリン車を含む欧州市場の車種別販売ランキングのトップ5入りだ。同時期にFMCされたトヨタ・カローラも日本メーカー車としては快挙といえるトップ10入りを果たしたが、テスラショックの前に完全に霞んでしまった。株式市場もテスラのさらなる「躍動」への期待感から時価総額でトヨタを追い越すという展開になる。言うまでもなくトヨタはテスラの「売上」とほぼ同程度の「利益」を叩き出しているのだが・・・。
まさかの展開に・・・
数年前に巻き起こった「ディーゼルゲート事件」の際に、アメリカ連邦政府によってフォルクスワーゲンが罰金でボッコボコにされた。もちろん悪いのはメーカーとサプライヤーなのだけど、この手の国際的「懲罰」のニュースはナショナリストを刺激しやすい。善悪はどうあれ、罰金の根拠がやや不明確な点などもあったので、ドイツの反米&反トランプ感情の高まりはなんとなく予想できる。しかし水面下ではとっくに新しい局面に向かって米独関係は突き進んでいるようで、まるで大統領選挙の結果を完全に見越していたかのように、2021年からはテスラのドイツ完成車工場が操業を開始するらしい。なんというスピード感だ(政治が絡んでいるのは確実だな)。「業態」が完全に違うのだから比較するまでもないけど、埼玉や広島で生産してせっせと1万キロ輸出している日本メーカーのEV担当者はこの状況をどう理解しているのだろうか!?