「戻りたくなるシート」
後席の居住性は使い方次第の問題であり、全くネガにならないユーザーもいるので絶対的な欠点ではないのだけど、それでもプジョー208よりも狭いのは驚きだった。ユーノス・コスモ、MPV、ベリーサなど、シートを主役としてインテリアを作り込む手法はMAZDAの伝統なのだろうけど、これらのモデルやMX-30に共通するのは、やや過剰なまでの「包まれ感」重視な設計思想があること。GHアテンザもそうだったけど、オーナーは四六時中「あのシートに戻りたいな・・・」なんて夢想しながら日常を過ごしてたりする。休日に限らず多少は時間に余裕があって、ちょっと気分転換したい時には無意識にクルマに向かっていることがあったっけ。トヨタに乗っていた頃にはそんなことはなかったが・・・。
CX-5が間違いの可能性もある
欧州の自動車産業が全盛期の頃に各メーカーから出されていた「グランドツアラー」は、大なり小なり「包まれ感」がクルマの根幹を成していたのだと思う。今ではすっかり少なくなって、変わって広々として解放的(スカスカ)なクルマが増えている(ボルボ、テスラなど)!? MAZDAの主力モデルがCX-5になってから10年近くが経つけど、このクルマも従来のMAZDA車らしくない「開放的」で広々したコクピットを持っている。それはそれで非常に快適なんだけども、そういえばGHアテンザほど「シートに戻りたい」と意識することは少なくなった。GHアテンザは自分で運転しないと気が済まなかったけど、CX-5は家族に運転させて後ろのシートに座っているのが結構好きだ。CX-5の後ろのシートの包まれ感はなかなか良い。遮音、NVH、乗り心地がかなりのレベルに達していて、これまた従来のMAZDA基準からはみ出した存在なのかもしれない。