同じ方向!?
MX-30とプジョー208。とても意欲的な2台を比較して、どちらも対比的で素晴らしい「芸術」なんだけど、見事なまでの共通点もある。「エクステリアデザインにこだわり過ぎないクルマ」と言われて、どんなクルマを思い描くだろう。「未来的デザイン」という表現がたまにレビューで使われるけど、10年後の自動車デザインを的確に予想できる人なんておそらくいない。テスラ、メルセデス、VW、アウディは内外装で擬似的な「未来志向」をアピールしている。不思議なことに、それらのデザインはどこか既視感があって、ちょっとした安心感すらある。それらの「未来」的表現とは、多くのSF的な映画やアニメを見て形成されたイメージが多くの人がイメージしている「イディア」をなぞっているからなのだろう。
0から1へのデザイン
その反対に、ホンダN-ONEや、スズキ・イグニスのように「レトロ」なモチーフを取り入れるデザインも流行している。良い悪いは別にして、「未来的」と全く同じくちょっとした「デジャブ」から来る安心感を武器に、ユーザーへの訴求しやすいデザインにまとめている。「未来的」でも「レトロ」でもなく、国内市場でにわかに流行している「ワル顔」でもなく、ある種のトレンドに頼ったデザインを使わずに、「ストレート」に「リアルな今を彩るデザイン」が見事に表現できているクルマはそれほど多くない(もちろんパクリもダメ)。何かを意図する訳でもなく、与えられた車格と機能美だけで圧倒的な「存在感」をナチュラルに表現できているという意味で208とMX-30は美しい存在だ。