MAZDAの完全勝利
スポーツカーはMAZDAのアイデンティティであるし、セダンのデザイントレンドそのものを変えたい!!というのが、前田育男さん率いる「魂動」チームの初期衝動だったように思う。しかしより現実的にコンテンポラリーで自然な乗用車デザインを志向した結果が、アウディ、ボルボ、MINI、スバルと同じ着地点だった。ミニバンでも軽ハイトワゴンでも軽トラでもなく「小型SUV」に軸足を置き、その中でも非凡なクリエイティビティを発揮したことで、「デザインにおける主導権」は獲得できたようだ。少なからず「魂動」的なデザイン(MAZDAっぽいデザイン)と、そうじゃないデザインの間には大きな格差が生まれつつある。MAZDAの真似はせずに真っ向からデザインで挑んだトヨタの「気概」は素晴らしいけども、MAZDAが作った「風」の中で、トヨタ小型車のデザイン風化はちょっと早いようだ。同時期に発売されたCX-3とC-HRを比べても完全に勝負ありだ。
デザインの所作が違う!?
ヤリスクロスからハリアーに至るまでトヨタのSUVはフロントデザインとサイド、リアのデザインがまとまっていない印象で、特にサイドのフェンダーのサイズやルーフのスロープ感などしばしばバランスの悪さが目につく。好みは人それぞれだけども、見かけるとちょっといたたまれない気分になる。2BOXで地上高もあり、キャビンやフェンダーのデザインも大げさになりがちなSUVを、いかに「一つの塊」に見せるかが、CX-30、MX-30、XV、Q3、XC40、MINIクロスオーバーにおけるデザイン上の特徴だ。樹脂パーツでとってつけたような張り出し部があったり、フロント、サイド、リアのモチーフが統一されていなかったりすると、全体のデザインはあっさりと崩壊する。