水野和敏さんに騙された!?
そんな状況なので「FR出す出す詐欺」の顛末に注目が集まる。自動車メーカー特に日本メーカーの場合は、実際に噂の段階で終わってしまうモデルも少なくない。ヨタハチ、S2000、セリカ、シルビア、ランエボ・・・それからRX-9など、スポーツカーに関してはいくつもの復活話が出ては消えていった。カーメディアがでっち上げるケースも多いのだろうけど、販売見込みが予測できないスポーツカーでは利益を上げることは困難であり、実際にR35GT-Rを作る時も水野和敏さんは色々なサプライヤーに頭を下げて専用部品を作ってもらったらしい。専用のDCTを作った愛知機械工業はGT-Rに参画すれば世界的に有名になれると説得されたが、残念ながらライセンスでガチガチのDCTはコスト競争力が乏しいようで、DCT専門のミッションサプライヤーで成功した例はほとんどない。
企画力あるサプライヤー
何が言いたいかというと、「出る出る詐欺」は、サプライヤーが乗り気ではない企画であることが多いということだ。さらん別の見方をすると、組み立てを行うメーカーは、国内の自動車業界でも給料水準が高い。それに対してエクセディやKYBなど世界的にシェアを持っているサプライヤーであってもトヨタや日産の給料水準には及ばない。こんな業界の構図を考えると、明日なき道を突き進むサプライヤーの社員の方が、未来を切り開くために意欲的な技術革新に勇気を持って取り組みやすい環境ができる。実際に自動車メーカーには系列のサプライヤーのみならず、他業種からも熱心に新型機構の売り込みがあるらしい。鉄鋼メーカーはアルミよりも軽くて頑丈なスチールボデー骨格を自ら設計して提案する。三菱電気も日本メーカーの脅威(HVの侵略)に怯えるメルセデスやVWグループなど主要欧州メーカーに、電動ブースター(モーター版とミッション版)を売りつけることに成功している。