退屈との戦い
「退屈なクルマは絶対に作らない」とやたらとPRする国内メーカーがある一方で、退屈さゆえに国内トップシェアに立つメーカーもある。自動ブレーキなどの運転支援が大幅に加わって以降の新型モデルは、当然ながら運転動作として退屈が一層増している。日本市場のほぼ全てのクルマを覆っている「オートマチックトランスミッション」だけで、その退屈さに絶望するという人もいるだろう。1990年代の2ペダル化を超え、2010年代の自動ブレーキ標準装備へと業界全体が「退屈革命」が続く中で、カーメディアの第一線で読者の共感を集めてきた福野レビューでは、各メーカーが業界全体の「退屈」な流れに逆らって「人間工学的に正しい」刺激的な運転環境を意図的に盛り込んでいるポイントを評価する姿勢がハッキリ見られる。
懐かしの2007年
2007年頃にまとめられた名著「世界自動車戦争論」には、一同に顔を揃えた国内外の個性豊かな新型モデル(GT-R、V8ヴァンテージ、ケイマン、アルファGT、6シリーズ、エボX、シトロエンC6、ジャガーXJ、ボルボS80、マスタング、TT、ミニなど)に、クルマ好きが歓喜する様子をメーカーへの感謝とともに代弁していた。これらのモデルはことごとくリーマンショックによって十分な評価を得られないままに消えていった。これらのモデルが消えることなく割拠したままの2012年だったならば、経済クラッシュでかなり「場当たり的」に設計されているMAZDA第六世代による躍進があっただろうか!?