日本の自動車産業は守られた
初代アクアの大成功の結果、今では軽自動車が200万円なんてことも珍しくなくなった。もしアクアが発売されずに当時の価格から大きな変化がないままだったら、今頃はホンダ、日産、MAZDA、スズキなどは国内生産を完全に止めていたかもしれない。98万円のBセグではとても国内生産を維持するのは無理であり、裾野が広い自動車産業全体が薄給で働いても間に合わずに、部品の質を落として生産する他ない。199万円のアクアを好んで買った人の何割かは、日本経済全体のことを考えていたのだろう。「Bセグに199万円なんてアホくさい。150万円のスポーツカーを作れ!!」と平気で口にする頭悪すぎな自称クルマ好きとは人間の質が違う。
新しい世界が広がる
コンパクトカーの常識が変わり、トヨタ以外のメーカーも、Bセグにストロングハイブリッドだったり、ディーゼルを積んだり、e-POWERという新しいユニットを国内生産の柱に据えたりと、新しいイノベーションが広がった。トヨタの幹部もこの歴史的「ゲームチェンジャー」といえる大成功に、自動車業界で生きていく上での醍醐味を感じているのではないか。クルマ好き連中も安易な「トヨタ批判」は程々にしておくべきだ。