発売のタイミングが良過ぎた
ゴルフ7は発売から数年間は、日本市場でコンスタントに月2000台前後が売れた。メキシカン・ビートルならぬ、メキシカン・ゴルフが人気になった理由は、個人的には「コンサバ」な魅力だと思っている。当時の日本メーカー車は急速に自動ブレーキ、ナビディスプレー標準装備、ヘッドアップディスプレーなどのソフト面の進化ばかりが目立つ一方で、HV化が前提の経営で、複数のメーカーが横断的で画一的なCVT一辺倒な装備に走り、個性が一気に薄れた。そんな中で多少は不器用だけどDCTでガリガリと刻むような駆動と、小気味良い小排気量ターボと軽量設計、静粛性もなかなかで、フラットな乗り味でハンドリングも好印象にまとめたアナログな7代目ゴルフは良く見える。同じような魅力を備えた初期型のボルボV40も良く売れていた。
ゴルフに刺激された日本メーカー
2013年当時はシビックが不在で、アクセラもハイエンドにディーゼルを置く奇妙な売り方をしていた。素直に北米向けの2.5Lガソリンも国内で併売していれば違う展開もあったかもしれない。インプレッサはスバルが認める通りにシャシーの実力不足を露呈。公式声明でも某欧州モデルに刺激されてSGPを開発したと述べている。どの欧州モデルだかハッキリとは書いてないけど、Aクラスや1シリーズやV40ではないはず。輸入車が月2000台も売れるなんて前代未聞で、日本メーカーにとってはかなり衝撃だったはず。え!?まだまだ日本市場にはそんなポテンシャルが残ってるの!?ってことで、シビックは凱旋してきたし、スバルは本気でシャシーを作るし、MAZDAはスカイXなる普段使いで軽快なガソリンエンジンを出してきた。初代アクアと同じように先代ゴルフも「ゲームチェンジャー」だったわけだ。