20年経過したからできたパッケージ
20年経ってもスカイラインに使われる設計は、世界最高レベルにある。2010年頃に抜き打ちで行われたIIHS(全米保険協会の衝突安全テスト)のスモールオフセットで、スカイラインとキザシ(スズキがかつて作っていた北米向けサルーン)以外は全く歯が立たなかった伝説もある。車重からも堅牢な設計なのだとわかるし、ボデーのゴリゴリした質感は、BMWやスバルなんかを遥かに超えている。
ここまで完成された基本設計に、「NISMO」を設定する意味はなんだろうか!? ノーマル(無印)のままでもフラット感もハンドリングも他の日産車とはまるでレベルが違う。開発側も素性の良さは十分に承知している。420psまでスープアップされたユニットは、欧州の高級グランドツアラーブランドにも引けを取らない。マセラティ・ギブリ(V6だと1550万円)やアルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(1331万円)といった官能的なイタリアンGTカーの価格を考えるとバケットシートのオプション込みで約850万円は説得力がある。
MAZDAを挑発!?
13世代に及ぶスカイラインの伝統の重みを感じるのもいいけど、11世代目のV35スカイラインからは北米インフィニティ向けのコンパクトスポーツサルーンとして開発されている。現行はインフィニティQ50となっているが、前身のインフィニティGは初代がP10プリメーラで初代&二代目はFF車だった。北米市場が求めるGTサルーンは6気筒以上が搭載できるFR車という結論からV35が生まれた。
MAZDAも同じようにGG、GH、GJの3世代のアテンザをFFで作成し、次は北米市場にプライオリティを持ってFRのMAZDA6になる見通しだった。直6スカイアクティブXを420psくらいに設定し、次期MAZDA6をFRで発売するとしたら、ベース車であってもスカイライン400Rを上回る600万円くらいになってしまうだろうか。完全に償却しきった日産のシャシーを価格で上回るのは至難の技だ。